角川短歌賞の受賞作品をみて
新聞で角川短歌賞の受賞作品が紹介されていました。
この賞は、過去、“俵万智”さんが受賞されたことで有名です。普通の文学賞と異なるところは、自分で五十首の歌を詠み、応募して選考を受けることです。
俵さんは、三年かけて候補→次点→受賞という歩みを経たそうです。
そして、今年の受賞作品は「小島なお」さんという17歳の女子高生の作品でした。
新聞等でもすでに公開されていますので、その一部をご紹介します。驚きますよ。
・エタノールの化学式 書く先生の白衣にとどく
青葉のかげり
・なんとなく 早足で過ぐ
陽差し濃く溜まれる 男子更衣室の前
どうでしょう。ストレートに、奇をてらうでもなく、ひねるでもなく、感じたことを伝えているわけですが、その感覚に深く新鮮な印象を持ちました。
・制服の われの頭上に 白雲は
吹きあがりおり 渋谷の空を
ご本人が青山学院高校ということで、渋谷の空なのでしょうが、あの雑踏の中で人を見ずに空に目を向け、雑踏の中にひとりいる自分が浮き彫りになるような、素晴らしい表現だと思います。
・靴の白 自転車の銀 傘の赤
生なきものは あざやかである
色鮮やかなものを想像させた瞬間、生きている自分は・・自分の生はなんなのだろうという不安感のようなものが感じられ、これも驚きをもって読みました。
最後にタイトルにもなっている「乱反射」
・噴水に 乱反射する 光あり
性愛を まだ知らない わたし
最初に激しい視覚的な感覚を感じさせて、そのあとに十代の迷路のような、まだ知らない世界への気持ちを表すところに、また感銘を受けてしまいました。
ご本人の写真も掲載されていたのですが、制服姿で、学校の鞄にマスコットをぶらさげている普通の高校生でした。
しかし、その感覚たるや“おそるべし”というところでしょうか。
本が出版されたら(もう、されているのかな、あとで調べてみます)、ぜひその作品の数々を味わってみたいと思います。
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はじめまして
小島なおさんの短歌の感想がのっていましたので飛んできました。なおさんの作品私も、同じ感想です。解かりにくい比喩など用いてなく、ほんと素直に感じたものを言葉にしている、気持ちいい歌だと思います。
又、お邪魔させてくださいね。
投稿: みい | 2004/11/29 20:51
みいさん はじめまして。
小島なおさんの短歌、いいですよね。
すぐにコメントをいただいて、やはり同じような感じ方をされていらっしゃる方がいることを知ってうれしくなりまた。
>又、お邪魔させてくださいね
ぜひぜひおいでください。
ただ、ここは何を書くのか当人もその時になるまでわからない状態で書いていますので、お恥ずかしいですが風任せみたいなものです。
このページの他、HPも作っていますので、トップページに載せてある“本館オトナのページ”や“別館オトナの研究室”などにもおひまがありましたらお寄りください(変なコーナーばっかですけど(^◇^;)。
では、またのお越しをお待ちしています。
投稿: はっP | 2004/11/29 22:12