The Capitol Albums Vol.1を聴いて
アメリカで発売され、1987年の廃盤以来英国の統一盤で売られていたため、完全に消えていたビートルズ初期のアメリカ版アルバムがボックス紙ジャケットで発売されました。
私のホームページ別館“オトナ”の研究室でビートルズの研究コーナーがあるのですが、ご覧いただいた方は、私の大ファンぶりがわかっていただけると思います。
そんな私は、実はこのアメリカ製のキャピトル盤に偏見を持っていまして、なんでも向こうは当時、アルバム一枚単位で印税が入るため、ビートルズのオリジナルアルバムから3~4曲取り除き少ない曲数でアルバムを作成し、残った曲をまたかき集めて別のアルバムを作り、また少ない曲数の水増しアルバムを乱造するという仕組みだったと理解していました。
しかも、ビートルズ本人は全然そのアルバムには関わっていなく、本来の自分達のモノラルアルバムが作られた段階で、レコーディングは終了、あとはプロデューサーのジョージ・マーチンがステレオ化したマスターを作り、アメリカ用に短時間で仕上げていたということです。
今回、そのうちの初期4枚がアメリカ用のオリジナル・マスターを使って再生されたわけです。
そして、曲順はこんなだというのも、もちろん知っていたわけですが、あらためてアルバムとして聴いてみたわけです。それは、思っていた印象とは全く異なり、アルバムとして出来が良いと感じました。しかも、アメリカが見たビートルズの印象が感じられます。英国の“好青年”、いかした曲を作り、自ら歌う感じの良い若者という風に聞こえてくるから不思議です。これは、エドサリバンショーでビートルズが登場したときのDVDが近年発売されましたが、それを見たときに似ている感覚です。
アメリカがビートルズを歓迎している当時の空気が感じられます。しかも当時のオリジナル・マスターを使っているので、アメリカ人のビートルズサウンド感が感じられます。
明るくて、しかも勢いがあって、クリアでわかりやすいサウンドっていうのでしょうか。
疑似ステレオ(デュオフォニック)も入っていますが、「抱きしめたい」に関しては、新鮮な驚きがありました。けっこう勢いがあってみずみずしい感じでした。ただ、「シーズ・ア・ウーマン」や「アイ・フィール・ファイン」は海賊盤的に音質が落ちていましたが。
4枚とも聴いてみましたが、“アメリカのビートルズ”を当時の雰囲気で感じられて『なかなか良いアルバム』であると、全面的に長年続いていた悪い印象が変わりました。
まだまだ、アメリカ盤は残っているし、「Vol.1」となっているからには第二弾があるのだと思います。
まさか、『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』が“ブッチャーバージョン”(血まみれの人形とビートルズのジャケット・・わずかな流通の後発売禁止して別のジャケットに変更)で発売されるとは思いませんが、楽しみです。
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