便利の押し売り
昨日から『座右の山本夏彦/嶋中労著(中公新書ラクレ)』という本を読み始めました。
辛口コラムで有名だった故・山本夏彦氏の数々の“金言・苦言”を取り上げ、掘り下げている本です。
読んでいて、う~んと思ったのは
「人類は、不便なものを便利にしてきた。要するに、時間と空間を“無”にすべく、さまざまな機械を発明してきた。」・・・と。
汽車に自動車、飛行機、電話、さらにインターネットと。
で、時空間を無に近づけてきたのですが。
そうして経済が発展してきたのだけれど、便利で豊かな生活が待っているはずだった未来は(つまり現在は)便利になりこそすれ、生活は忙しくなるばかりだというわけです。
まったく同感です。上記のようなことは、人の幸せとは何の関係もなかったわけです。
時空を征してそれだけヒマになったかというと・・全然なっていない。給料だって上がっていない。幸せとは何にも関係ないんですよね。
結局、何倍も何十倍も忙しくなっただけだと思いませんか?!
しかも、出来てしまったものは、無かった昔には戻せません。
そんなことを人間は営々と続けてきたわけですね。
で、私は思ったのですが、昔は、上記のように不便なものを便利にしてきた。
そして、今は“さらに”不便でないものを便利にしている。・・と思ったのです。
頼みもしないのに、「便利だ、便利だ」と新しい機能を盛り込む携帯電話。
インターネットでこんなに便利なことが出来るという“うたい文句”があっても、そのサービスが過剰に多すぎて、しかも何度読み返しても意味不明なくらい複雑だったり、日本語が基本的にできていなかったり。
サービスの洪水の中で、何をしてよいやらわからなくなっている人はたくさんいるのではないでしょうか。
便利に追いつけない世の中になってきた。そんな気がします。
いらないものを便利だといって押しつけられている。そんな気がします。
「便利だよ、便利だよ」と言ってきたら、胡乱(うろん)だと思うとよいかもしれないです。
まだ、本は読み終わっていませんが、ちょっと読んだだけで、こんなことを思いました・・・。
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