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2008/01/05

読みましたよ、佐藤さん

Ryusei_wagon_2
毎月一度だけ開店する不思議な本屋「松尾堂」、新刊だけでなく古書も、そしてレコード、CDも売っている不思議な店・・そこに著名人が訪ねてくるという設定のラジオ番組があり、新年特番で、元旦も開店しておりました。

その中で、松尾堂のアルバイト店員の設定になっている、グラビアアイドルの「佐藤寛子」さん(なかなかの活字中毒者とみた)が、番組の後半に「電車に乗っている、疲れ切った40代のお父さん、私、『流星ワゴン/重松清』を読んでみてっ!って叫びたくなるんです。あきらめちゃだめ、これを読んでっ・・て」とすごい勢いで言っていたのを聞きました。

それで、写真の『流星ワゴン/重松清』をさっそく買いに出かけました・・ブックオフに・・っていうのがちょっと40代のおじさんぽいが・・。

これは不思議な話でした。
子供が小さかった頃は幸せだった家族関係が、今ではすっかり荒んで、奥さんの心は自分から離れ、子供は受験に失敗し暴力を振るうようになり引きこもる・・自分は会社をリストラでクビになる。
深夜、駅について、いっそ死んでしまいたいと思った瞬間に、過去の新聞記事で読んだことのある事故死した父子がクルマに乗って主人公の人生の一番大事な局面となる過去への旅へいざなおうと迎えにくる・・という話です。

バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいに、実際に過去に行って、運命を変えようとするのですが、実際は変わらない設定になっています。しかも過去への旅に乗っていく乗り物は“デロリアン”ではなく、ホンダの“オデッセイ”であるところが普通な感じで、また面白いところです。

自分の父が、自分と同じ歳になって、過去の現場に現れたりして、自分と子供の関係、自分と親の関係を悔いの残らないように心の整理をしていくのです。
読んでいくうちに、自分も心の中で、親との関係、子供や妻との関係を整理していくことになったように思いました。

子供が成長するに連れ、「自分がこの歳にはどうだっただろうか」と考えることは今までにも多々ありました。
そして、自分が30代、40代と年齢を重ねていくうちに、「父がこの歳には、どうだっただろうか」と考えることもしばしばありました。
そんな気持ちを全国のお父さんが持っていることと思いますが、そんなテーマが小説になっているのです。

松尾堂のアルバイト店員・佐藤寛子さんが言っていた「疲れ切った40代のお父さん」達に、私だけでなく是非読んでいただきたいと思いました。
やり直しはできないが、でも、何かこれからの生き方に対し、ヒントをもらったように感じました。

佐藤さん、読みましたよ。ありがとうございました。良い本でした。

【NowPlaying】 Dax Pierson / El Ten Eleven ( Rock )


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