『analog』という季刊誌を読んで
『analog』という季刊誌があります。主にオーディオのアナログ・プレイヤーや、その他マニア向けの高級アナログ・オーディオ機器の記事や、その他ウイスキーやカメラのお話しなどが載っているもので、私にとっては興味深い雑誌です。
ここのところレコードのアナログ・プレイヤーの調子が悪く、久しくレコード盤を再生しておりませんで、プレイヤーを物色しようということでもあったのです。
ビートルズ達本人自身はアナログで、しかもモノラルでしか(1968年頃まで)、自分達の音を聞いていません。
その気持ちをもう一度わかりたくて、現在所有しているアナログ盤を再度聞き直してみたいと思ったのです。
そんなことを考えていたら、テレビのe2byスカパーの日本映画専門チャンネルで、浦沢直樹さん(漫画Yawaraなどの作者)が、子供の頃から自分の心に残っていた手塚治虫作・鉄腕アトムの中のひとつのエピソードである『地上最大のロボット』の巻を自分流に作っていることについてロング・インタビューが放送されました。
色々と興味深いことをおっしゃっていたのですが、特に心に残ったことをひとつ・・・。
過去の名作を見るときには、漫画でも映画でも、「その時代に自分を置く」という工夫をすることによって、その作品の奥深いところまでたどりつける、という発言でした。
なので、現在の若者が「アトム」を見るときには、昭和三十年代を意識して、そこに自分の身を置くということが、作品を奥深く味わう“コツ”になるのだそうです。
このインタビューの後に、当時放送された「鉄腕アトム/地上最大のロボット 前・後偏」も流されました。
今見ると、かなりあっさりしているように思えるし、漫画本とはかなり異なっていましたが、たしかに昭和三十年代を意識することによって、見えてくるものがあるような気がしました。
これは、音楽でも同じであると感じました。
例えばビートルズ。今では当たり前のように感じる曲作りの手法や、サウンドについても、当時の技術の中では画期的なものであったわけで、そうして一曲一曲、アルバムの一枚一枚を味わうことで、さらに奥深いところまで感じることができるように思います。
きっと、小説などもそうかもしれません。
すでに、見たり、聴いたり、読んだりしている作品についても、もう一度、作られた当時に自分の身を置くことによって、二重の楽しみがあらわれてくるかもしれません。
興味を持たれた方がいたら、お試しを!
【NowPlaying】 犬の目 / 桂 吉朝 ( 落語 )
« お江戸日本橋亭へ | トップページ | 子供の頃のように応援だけしていられない »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」を見て来ました。(2022.06.18)
- 映画「大河への道」を見てきました。(2022.06.16)
- 映画「太陽とボレロ」を見ました。(2022.06.09)
- 映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」を見て来ました。(2022.05.28)
- 映画「シング・ア・ソング! -笑顔を咲かす歌声-」を見て来ました。(2022.05.22)
「音楽」カテゴリの記事
- 「オーディオの作法/麻倉怜士」を読みました。(2022.08.06)
- 石田衣良さんの「小説家と過す日曜日」を読みました。(2022.06.17)
- 映画「太陽とボレロ」を見ました。(2022.06.09)
- 最相葉月さんの「絶対音感」を読んだ。(2022.05.30)
- サビだけ聞いて、映画は早送りの人(2022.05.21)
「趣味」カテゴリの記事
- 寺島靖国さんの「My Room My Audio -十人十色オーディオ部屋探訪-」を読みました。(2022.08.01)
- あまり気にしていなかった「サブスクリプション(※サブスク)」について考えてみた。(2022.05.06)
- 中1の時の担任の先生が書いた「短歌入門 -実作ポイント助言-」を読んでみた。(2022.03.11)
- CDジャーナルのムック本「台湾人ジャーナリストが見たニッポンのジャズ喫茶」を読みました。(2022.01.06)
- 今、珈琲を淹れるのが楽しくなってきたところです。(2022.01.05)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「日々発見」カテゴリの記事
- 「老いを愛づる -生命誌からのメッセージ-/中村桂子」という本を読みました。(2022.07.21)
- 「トイレの輪 ~トイレの話、聞かせてください~」を読みました。(2022.06.05)
- サビだけ聞いて、映画は早送りの人(2022.05.21)
- 外山滋比古さんの「人生を愉しむ知的時間術」を読みました。(2022.05.13)
- 「便利になると、見えなくなるものがある」という話。(2022.03.23)
「The Beatles」カテゴリの記事
- 映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」を見て来ました。(2022.06.18)
- ビートルズ・メンバーそれぞれのリアルタイムでのニュー・アルバム体験(2022.03.27)
- 「ジョンたま」って聞いて・・自分には使えないと思った。(2022.01.15)
- ビートルズ「Let It Be」のスーパー・デラックス・エディション、最後五回目の試聴は、 Disc 5『Let It Be EP』です。(2021.12.28)
- ビートルズ「Let It Be」のスーパー・デラックス・エディション、四回目の試聴は、 Disc 4『GET BACK LP-1969 GLYN JOHNS MIX-』です。(2021.12.25)
コメント