三十年以上前に読んだ本を読む
長男に夏休み中に何か本を読んだ方がいいぞと言うと、「じゃあ、何か貸してくれ」と言われて---
最初はカフカの「変身」を渡しました。
あっという間に読んでしまったので面白かったのかもしれません。
さらに次の本は・・と考えているうちに、太宰治の「人間失格」を渡してしまいました。
実は、内容については私もすっかり忘れていたものでした。
でも、たぶん私が読んだ高校生の頃にはかなり衝撃を受けたような気がしていたので、渡したのです。
「ずいぶん悲しい話だったね」と、朝、渡したものが夕方に返ってきました。
で、すっかり忘れていた私も、もう一度読み返してみました。
当時のことを思い返してみると、「この本はまるで自分の心の内面をそっくりえぐり出しているようなものだ」と、恥ずかしくて、いてもたってもいられないような気がしたことが思い出されます。でも、内容がはっきり思い出せないのです。
また、・・・「この本をオトナになってから読み返すことは二度とないだろう」と、当時思ったことが記憶の底にあるのです。
きっと、青臭くて読み返す気にならないだろうと思ったのだと思います。
で、今回読み返してみると、青臭いとはそんなに感じませんでしたが、ちょっと主人公に説教したくなったりしたのですが、それは、私が“オジサン”化した証だと思いました(^_^)
この救いようのない主人公のお話は、十代の高校生には今でもかなりインパクトがあるのではないでしょうか。
これから自分はどう生きていけばよいのだろうか、などと考えることもある時期だと思いますが、その“ぐじゃぐじゃ”になった心に何か刺激を与えるかもしれません。
私は今になって読み返してみた感想は、けっこう太宰の“自慢話”的な印象が残りました。
死のうと思ったり、女に憐れみを感じたりすることに、・・そう考えている自分に酔っているような気がしました。
でも、文学としては、今読んでも、「これは面白い」と素直に感じました。
どうでしょう、十代に読んだ本をもう一度読み返してみるっていうのは・・・。
あの頃とはまったく違った印象や、感想を持つことができるかもしれませんよ。
そして、自分自身の人生経験を振り返ることができるかもしれません。
さて、私は次に何を長男に手渡し、私自身は何を読み返そうかと思っているところです。
【NowPlaying】 Again / Harold Harris ( Jazz )
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少しだけ、秋の気配がしてきましたね^^。
確かに昔読んだ本を、大人になって読んでみるとあの頃とは、違った見方、感想を持ちますよね。
わたしは、今、宮沢賢治の新編・銀河鉄道の夜を寝る前に読み返しています。
やはり、いいなあ~と思います。人間失格、次に読んでみようかな。
投稿: みい | 2008/08/19 15:04
みいさん、こんばんは!
ほんと、日中は暑いのに、朝夕に秋の気配をふと感じますね。
昔読んだ本を今、本棚に並ぶ背表紙であらためて見返してみると、また読んでみたい本がたくさんあります。
「銀河鉄道の夜」も中学・高校の頃に何度も読み返したものです。今、また読みたくなってきました。
投稿: はっP | 2008/08/19 22:58