よき友三つあり、一つには物くるる友・・徒然草
一昨日からニュース等で流れている汚職事件。
実は私にとっても大激震だったわけですが、ただ驚いたり、がっかりしているだけではなくて、何か心に引っかかるものがあり、胸の内がすっきりしません。
新聞などを見ると、今まで陰で色々言われていたことや、言っていた人の話がどんどん浮上していて、「じゃ、なんで今まで書かなかったの?とか、何でそう思ってたのならお前は言わなかったのか?」などとも思ったりして・・・。
でも、それでも心の中のいやな感じはどんどん増すばかりです。
そのとき思い出したのが、写真の『その時がきた/山本夏彦著(新潮社)』という本に書かれていた「ワイロほどいいものはない」というコラムです。
そこには、進物やワイロを貰う機会のない人は貰う人を憎む。正義漢になるが、ぽっちりでも貰ったらにっこりする。」と書かれています。
もう、12年も前の本ですが、ここに書かれていることはその何十年、何百年も前から行われていて、今もまた行われたわけです。
「新聞の読者の9割9分はワイロをもらう席にいないから、席にいるものをあばいて、直となす記事を喜ぶ。」
とも書かれていて、田中角栄が官庁の長に就任したときに、名刺代わりに普通数万円の祝儀のところが、数十万円の祝儀を包んだという話です。
普段貰う機会の少ない人で正義漢である記者は、氏が首相になったときには、「今太閤」ともてはやしたのは私の記憶にもあるところです。
「ワイロには上限があって、利益を超えない鉄則がある。だから無限に増えると心配するのは貰っていない人の杞憂である。」とまで夏彦翁は書いています。それに・・・「一度でも貰ってごらん。人間というものが分かる。」と。
この本に書かれていたことを初めて読んだ頃、私はけっこう衝撃をもって目にしたのです。
だから、今でもすぐにこの本のどこあたりに書かれていたか思い出すことができたのです。
「ワイロは浮き世の潤滑油」などと大胆なことが書かれていますが、それはたしかに現実なのです。
何度事件が発覚しても止まないのは、それが上記の大胆な夏彦翁の発言を裏付けているともとれます。
でもね、私がこの本を初めて読んだ頃と私の考え方は変化しています。
潤滑油だろうが、なんだろうが、自分の下で働く数千人の人や、それによって裏切られた数十万の住民や、その他関係者、自分の親、配偶者、子供に対して、自分で納得ずくでそんな行為ができるのかね・・と思います。
密告だとか、報復だとか、色々な憶測記事も出ていますが、やはり“明るみに出るべくして出た”のだと私は思います。
逆にそうでもなけりゃ、死ぬ思いで働いている人や、その他関係者、肉親などにもよくないと思うのです。
出るべくして出たものなのだから、その当事者はそれを自分自身によくぶっつけてみて、自分自身に反省してもらいたいと思うようになりました。
ほんとうにいやな話でした。
もう二度と聞きたくない。そう思いつつ今回の書き込みは終了です。
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