「悩み」の正体
表題の『「悩み」の正体/香山リカ著(岩波新書)』を読みました。ブックオフで格安だったので、思わず手に取ったままレジへ。
精神科医で、テレビなどにもよくコメンテーターとして出演されているので、著者をご存じの方は多いでしょう。
この本は、最近特に顕著な「悩み」を取り上げて、簡単なアドバイス的なことも書かれていますが、何せページ数も少ないので、種々の「悩み」をいくつもあげて、コメントする程度にとどまっているような印象のものでした。
たとえば、「自信が持てない」という悩みを持って診察室に訪れる人。
でも、「何ができれば自信が持てるのか」と聞いても、「自信さえもてれば、仕事やその他人付き合いも可能になる」というようなことを言って、結局何か先生の言葉や薬などの“特効薬”的なものがあれば自信がわいてくるのではないかと思っているふしがある患者さんの話だとか。
ようするに何に対しても自信が持てない、自分に自信が持てない、・・で、結局「自信を持つ方法を教えてくれ」というような展開になってしまうようです。
あとは、「前向きな気持ちになれない」とか、「生きがい、やりがいを感じながら仕事に打ち込めない」など。
「成功に必要なのはプラス思考」などというよくあるアドバイスもありますが、でもいつもプラス思考なんて人ほんとにいるのかな?・・・。
この他にも色々な最近になって顕著になってきた「悩み」が書かれていましたが、私も考えてみました。
で、「考え込ん」だり、「足踏み」したりしない人なんていないわけで、それを病的だと思うこと自体がまずいのではないかと思ったわけです。
たったの一日の中でも気分の浮き沈みは激しいくらいにあるわけで、それを病気だと自ら考えてしまっては、よくなるものもよくならないように思うのです。
近年では、ちょっと仕事が忙しくなったりすると、「うつ病」の診断書をもらい、仕事は他の職場の人にまかせて休んでしまい、先生からアドバイスがあったとして、プチバカンス的に観光などに出かけ、悠々と精神の“快復”をはかるような人もたくさんいるというようなことも書かれていました。
実は私の“会社”でもこういう人はかなりの人数に及んでいるらしいということを聞いたことがあります。
職場に残された人こそたまったものではありません。
自分の仕事も悩みを抱えつつこなし、さらに人の仕事まで抱え、あげくにその休んでいる本人はリゾート地にいてゆっくりと療養中・・となると、ほんとうにうつ病になってしまうのは、休まれてしまった側の人じゃないか・・と思ったりもしました。
最近では、うつ病に対する薬も多種多様にあって、その治療に関しては新しい療法もあるようです。
でも、薬を飲んだからって、“前向き”になったり、“自信を持て”たりすることになるわけではないと思います。
自分でとにかくやってみる。仕事も人付き合いも、その他臆病になってやらなかったことも。
それが快復、解決の最短距離だと私は思うのです。
事実、今まで自分がそうだったので。何もやらずに悩んでばかりいることが結果として、どんなに自分を痛めつけることになるか・・。失敗をしてもやってしまえば、それは自信になっていくということは実証済みです、私で。
あとは、人と自分をくらべないこと。
どうせ誰も自分のことなんか気にしていないし、くらべようともしていないのです。
みんな自分のことで精一杯なのだから。
やってしまって、失敗しても、その後にはけっこう小さな幸せが、ほんのちょっとだけどついてくるものです、案外。
むしろ、幸せというものは、そういうときにしかやってこないと・・私は思っているのです。
きょうは、ちょっとした新書を読んで私なりに思ったことを書いてみました。
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