“字幕屋”が感じた変な日本語の本、読みました
『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ/太田直子著(光文社新書)』を、また電車の中で読みました。
著者は、もちろん映画の字幕翻訳をされている方。
生まれた年代は、私と同じくらいの方です。
読んでみて、かなり驚いたことは、私が過去に(最近でも)ブログに書いたことと同じような意見がいくつも書かれていたことです。
たとえば、やたらと“さん”をつける人のこと。
私もこのあいだ、自民党にさんづけしていた知事の話を書きましたが、チラシなどの“案内”に「マクドナルドさん」とか「○○銀行さん」なんて、書いてあることを「変」だ、取り上げていたり、なんでも“お”を付ける風潮にもふれています(私も“お”戦いになる、“お覚悟”、などを取り上げました)。
それから、私が同感したのは、近年映画館でも「吹き替え版」が好まれている傾向に疑問を感じていることです。
もう、字幕を見ることさえも若者達は面倒になっているようです。
そもそも簡単な漢字も読めなくなっているみたいで、標準レベルに合わせて字幕を作らなければならない“字幕屋”にとっては字幕作成自体にも変化が訪れているのだそうです。
でも、私も、この著者もそうですが、字幕の場合は、俳優の実際の声、しゃべり方、雰囲気も感じ取れるので、字幕の方が好きなのですけど・・現実は吹き替え中心に傾いているみたいです。
さらに、近年、携帯メールは誰でも日常的に打ち、ブログも若者には身近なものになっているのに、「書く」ことに長けていないということも同感したことでした。
著者も書いていましたが、ほんとうに最近の人たちのメール文などを見ると、ただ話しているようにだらだらと書いているだけで、言いたいことの“組み立て”も、言葉の“選択”も無く、見ているだけで疲れるようなものが多いと感じます。
その他この本は、“字幕屋”ゆえの悩み、ジレンマなどが書き綴られている、「言葉」好きの私には、とても楽しいものでした。
【NowPlaying】 クラリネット・マーマレード / エドモンド・ホール・カルテット ( Jazz )
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