「遺品が語る真実」を読みました
『遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実/吉田太一著(青春新書)』を通勤電車の中で読みました。
これは、運送業とリサイクル業務をやっている中で、「遺品の整理」という特殊な業務が現代の世の中に必要なのでは・・と、著者が始めた“遺品整理”という仕事の中で感じたことをまとめた本です。
現在は、孤独死、あるいは事故・事件による死が増加していて、さらに家族も無く、人付き合いも無いまま亡くなる方がたくさんいて、死後の遺品整理が遺族によってできないことが多々あるといいう状況から、この新しい仕事が生まれたようです。
映画「おくりびと」でも、上記のような状況の場所に踏み込んだところがシーンとしてありましたが、この仕事はたいへん過酷なものであること、想像に難くありません。
その過酷な状況も書かれているのですが、それはこの本を読んでいただくとして、私が気になったのは、現在は「携帯電話」が遺品としてその方の人となりを一番あらわすものになってきているのだという部分でした。
私は、携帯のことまでは、考えていませんでした。
携帯に残された履歴は、着信、発信、メールも故人の亡くなる直前までの様子が残されるわけで、過去には仕立ての良い着物や、故人愛用の貴重な道具等が遺品として形見分けなどされたのですが、今は“ケイタイ”というわけです。
故人の意外な人とのつき合いや、何気ない一言が記されているメール、遺族には貴重なものとなるわけですが、孤独死などの場合、結局その内容は誰にも知られずに処分されてしまうのです。
また、孤独死された方は、家電品に特徴があり、ものすごく古いものがそのまま、修理されることなく、いくつもの物が残されているとのこと。
けっして、故人が物持ちがよく、大事に使っていたというのではなく、部屋は荒れ放題、壊れた家電品はただ直さなかっただけ、という状態なのだそうです。
もう、直そうという気持ち、気力が無くなってしまうのだろうということでした。
家族との楽しかったシーンが写されている写真や、子供が書いてくれた言葉、自分が家族に対して思ったことを書いた走り書きのようなものも大事に保管されていたりするとのことでした。
一人暮らしが決して好ましいものではなく、やむを得ず孤独な生活をしていたのかもしれません。
今回ご紹介した本は、単に珍しい商売の中から出てきたエピソード集というものではなく、その中から人として生きていくこと、どうやって死を迎えるか、などと色々考えることがたくさんありました。
興味本位で読み初めてしまったのですが、様々な人たちの生き方に出会うことになった本でした。
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