こういうことを書く男がいなくなった
『ピーナツ・バターで始める朝/片岡義男著(東京書籍)』を読んでいます。
片岡義男の本を読むのは学生時代以来かもしれません。
その頃は、たぶんビートルズの訳詞集やその周辺のものを読んでいた記憶があります。
この本は、片岡義男、最新刊のエッセイで、どの話題も本人のいろいろな楽しみや、こだわっていることなどについて、ゆっくりと、味わい深く書かれています。
昔こんな感じの本を読んだことがあると思ったのですが、伊丹十三の「日本世間噺大系」や、植草甚一の一連のジャズや本についての著書で、出会ったことのある、あの男のエッセイのような雰囲気を再び感じました。
好きな手帳のサイズ・表紙について、あらためて読んだ「漱石」の作品について、瀬戸の潮風の中で味わった「うどん」の味、アイスクリームにチェリー・シロップをかけたデザートの話からアメリカのフルーツ・ロールズというキャンディの話、パット・ブーンの「砂に書いたラブレター」という曲からどんどんふくらむ話、などなど・・・。
そういう自分の心の中にしまってある話が綴られているのを読んでいるだけで幸せな気分になります。
学生の頃は、こんな本をよく読んで、そういう多趣味で、余裕のある男になりたい、などと思ったものです。
・・・そうはならなかったけど・・・(^_^;)
なんていうんだろうか、こういう「男」の“時のながれ方”やその人の“存在、居住まい”みたいなものを感じさせる本って最近あまり読まなかった気がします。
ちょっと、いい時間を過ごせたような気がする本でした。
【NowPlaying】 Who Can See It / George Harrison ( Rock )
※好きな曲です。(アルバム:Living In The Material World に入っています)
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