大人がいなくなる社会
『「大人」がいない・・・/清水義範著(ちくま新書)』を、これも電車の中で読みました。
内容はタイトルどおりのもので、日本の社会自体がアルバイトをしたりしながら、アニメやゲームをやっていたりするだけで、ようするに従来の“子供”的な世界だけで人生が完結できるようなものになってきたのだ・・という話なのです。
それに広く社会に目を向けなくても、自分の周囲だけで、ものごとが完結しているということも指摘されています。
実際に会社に勤めている人間でも、自分の周りの仕事だけうまくいけば良いという、そんな感じの人も多いのではないか、と感じます。
そんな考え方は、音楽・歌の世界でも見えているような気もします。
ほんとうに歌っていることといったら、自分の周りのことばかり、あまりにも狭い世界観の音楽が、邦楽に多くなってきたと感じます。
この本では、さらに、もともと日本人というのは、欧米人と比べると、体つきも“子供”のような体型であるし、皮膚なども湿気のせいか、多くの国のひとたちよりも子供のようにすべすべしているし、日本人は肉体的にあまり成熟しない特性があるのかも・・、それが顕著になってきたのが現代なのかも・・と話は飛躍します。
生物学用語に「ネオテニー(幼形成熟)」というものがあるそうです。
動物が幼形を保ったまま性的に成熟期に達し、生殖を行う現象のことをいうのだそうですが、これの有名なのが“ウーパールーパー”なんだそうです。
日本人は、どんどん“ウーパールーパー”化していくのか!?
通勤電車の中でも、サラリーマン(年齢問わず)が、行きも帰りも携帯型のゲームを真剣にやっていて、その人たちが日々増加するのが驚くくらいの速度であると最近感じています。
もう、会社から外であれば、『ネオテニー』な“僕ちゃん”たちには、そこは遊び場なのでしょう。
町内などの社会活動なども全くしない、「周囲数メートル内完結派」の人たち・・どんどん増殖していくことでしょう。
【NowPlaying】 ララバイ・オブ・バードランド / クリス・コナー ( Jazz )
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