発表は難しい
きょうは、朝、事務所に出勤してからすぐに飛び出し、とある研究所の講演会というか、研究成果の発表会といえるものに出席しました。
航空から、高速道路、環境、下水道、地震や津波などの危機管理など、幅広いテーマについてそれぞれ壇上から発表があり、まるまる一日かかりました。それぞれが長引いて、昼の休憩もほとんど取れない状況でした。
そこで発表を聞いていて感じたのは、「どんなに優秀で立派な人でも、特に今回のような技術的な側面を含む発表などは、その人の“人前”での発表能力により、まったく聞く気にもなれないようなものになってしまうことがあるのだな」ということでした。
発表の内容がいかにすばらしいものでも、それを人に伝えるのは難しいし、さらに「伝えたいのは“これっ”」という迫力というか、何か発するものがないと、全然伝わってこないものです。
今回、それぞれの研究官などが発表する前に、このブログでも以前ご紹介した『渋滞の先頭は何をしているのか?』の著者、西成活裕氏の「無駄とは何か」という特別講演がありました。
実は、この特別講演がとても面白く、抜群の講演でした。
とにかく、最初から“つかみ”はバッチリで、みんな身を乗り出して聞いていました。もちろん、私も。
無駄に関する色々なエピソードも語られましたが、私が「そうだったのか」と、少し安心したのは、例えば「50ページの資料を数百部作っておいてくれ」と言われたら、どうするか?!という話題。
皆さんだったらどうしますか?
実は私は、10部とか20部ずつ完成品を作りながら進めるのです。
これは、効率が良いのかどうかと、自分でも不安でした。
氏のおっしゃるには、人間はまとめてやりたがり、“楽”をしてやろうという気持ちが働くが、一つずつ完成品を作り、小出しに流していく方が実は無駄がないのだと言うのです。
これは、工場などでも同じで、A、Bそれぞれの部品で完成される品物があったとしたら、「午前中はA、午後はB」などと作ってストックしておいて、最後に完成させるのは、置き場のスペースも無駄だし、短時間でA、Bそれぞれの部品を交互に作り、どんどん完成品を小出しにするのが一番効率的だというのです。
パーティー会場などでのお寿司の屋台などでも、よく見かけるとのことで、一皿に何種類かの握りがのっているものに客が群がり、混雑しているのを見ていると職人は、トロならトロだけ握って、それぞれの皿に並べて順番にそれぞれのネタを作るので渋滞してしまうとのこと。
実際に西成さんは、職人に「一皿ずつ作れば混雑は解消するよ」と教えてあげたそうで、混雑はそれにより解消してしまったそうです(^_^)
おっと、話が特別公演の西成先生に移ったままになってしまいましたが、言いたいことは、人に伝えるというのは、きっちりと最初に“つかみ”が出来て、聞いている人に興味を持たせ、自分の側に聴衆の心を引き込んでいって、やがて話を核心に持って行く、という、今回初っぱなの特別講演、西成先生の講演が良い例だったということです。
でも、その後、西成先生の後の発表者の方達はあまりそんな風ではありませんでした。
せいぜい二人くらいだったでしょうか、聴衆を聞かせる態勢まで持って行けたのは・・。
閉会の挨拶で、「最初の講演があまりにも良かったので、その後皆さんがいなくなってしまうのでは、と心配しました。」という正直な感想を主催者側がもらしましたが、反省材料になったのではないでしょうか。
なんの“つかみ”もなく、いきなり話の本題に入り、しかも全く抑揚の無いしゃべりの方もいました。
そんなことを言いつつ、私も自分だったらと、反省しきりだったのですけれどね(^_^;)
きょうは、大勢の前での講演・発表を聞いて来ての感想でございました。
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