ラブシーンの言葉/荒川洋治
『ラブシーンの言葉/荒川洋治著(新潮文庫)』を読みました。
荒川さんは、現代詩作家・批評家で、私も以前ラジオ番組などでお話を聞くことがありました。
詩やエッセイでも数々の受賞をされていますが、「文芸時評という感想」で小林秀雄賞も受賞され、従来のスタイルに真っ向から対立するような時評が話題を呼んだ方です。
毎週やっていたラジオ番組で私が聞いていた時にも、「そんな掘り下げ方をするのか」という深く、しかも時間のかかる丹念な探求をされていたのを思い出します。
今回の「ラブシーンの言葉」は、その内容について引用が出来ないほどの“過激”かつ“あからさま”な「ラブシーンの言葉」が数々の書物や雑誌などから収集され、紹介されています。
それを読んでいるだけで、こちらも“赤く”なったり、年がいもなく興奮状態になってしまったり、あきれかえったり(^^;)、そりゃもうたいへんな本です。
また、荒川さんの本当に正直な“男”の気持ちがストレートに表現された感想などもすごいものです。
私だったら、格好つけてしまいそうな気がしますが、こっ恥ずかしいことを真面目にそのまま言ってます。人間としても何段も格上な気がしました。素晴らしいです。
まず、電車の中でなんか読めません。見ているのを見つかったら“逮捕”されそうです。
でも、文学的な筆致の表現から、まるで下卑た“ただいやらしい”ような表現まで、これだけの「ラブシーン」とともに、そのときの男女の会話、言葉を隈無く集めたものは他に無いでしょう。
後生の人々にとっても、貴重なものになるのではないでしょうか。
こういうものって、何か高尚な表現、言葉だけ学問的に集めてしまいがちな気がしますが、実はこういう隅から隅まで拾い集めたものは、その時代の“男女のいとなみ”がどんなものだったかという大胆で詳細な資料にもなり得るものだと思います。
“一人でそっと”読んでみるのにおすすめです。
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