久しぶりに「ハムレット」を読んで
この間のブログに書きましたが、宝塚でシェイクスピアの「ハムレット」が演じられるということで、久しぶりに本棚にあったものを引っ張り出して読んでみました(ものすごい埃と、紙面が日焼けしているのに時の流れを感じました)。当時のこの新潮文庫版は、わずか240円。
たった240円で、あの頃は素晴らしい演劇の世界に連れて行ってもらっていたんですね。当時としても安いものだと思います。。
そして、今回の「ハムレット」は、31年ぶりでした。
元々学生時代に、NHKで“シリーズもの”として放映していた本場BBCのシェイクスピア・シリーズを見て興味を持ち、シェイクスピアはその後全作品を読みまして、大好きでした。
でも、仕事をするようになってからは、すっかりご無沙汰気味でした。
「ハムレット」は四大悲劇の一つと言われるだけあって、面白いですねえ(^__^)
いきなり現れる甲冑姿の亡霊・・・しかも主人公がその亡霊から恐ろしい叔父の陰謀と母の計略を耳にして、それからの「復讐」と「苦悶」と「狂気を装う日々」。
人間の内向的な部分と、懐疑の憂悶に悩む部分、人ひとりの内面が描かれているだけで、もう本を手放せなくなってしまいます。
そこに現れる美しい娘、オフィーリアの悲恋なども織り込まれ、最後の格闘のシーンまで、頁を目で追っているだけで、すさまじい迫力と登場人物の心の振幅に、こちらも完全に入り込んでしまいました。
この感覚!まさに、学生時代に私が初めてシェイクスピアを読んだ頃の感動です。
いい作品は、何十年・何百年経っても、衰えを見せないのでしょうね。
シェイクスピアの作品には、悲劇でも喜劇でも、読んでいるうちに自分の心の中が見透かされたような気になるところがあります。
登場人物に愚かな者が居たとすると、それは自分を鏡に写しているような気にさせられます。
また、主役、その他主要人物など以外の“道化”その他の脇役の台詞などにも、この無常な世の中の摂理のようなものが仕込まれていたりして、油断のならないところもシェイクスピアの良いところです。
面白くて、深くて、感動の大きいシェイクスピア作品、30年ぶりにまた色々読み返してみようと思い始めました。
【NowPlaying】 My Foolish Heart / Olivier Antunes Trio ( Jazz )
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