ロック・オペラ『ハムレット』の報告
宝塚歌劇団・月組公演 『HAMLET ! ! 』(日本青年館)を既に見ておりましたので、遅ればせながらの報告です。
今回は、私の好きなシェイクスピア原作の「ハムレット」。久しぶりに本も読んで内容や台詞なども叩き込んでの気合いの入った観劇でした。
今回は、ハードロックサウンドと共にハムレットを演じるということで、衣装も“ロック”なレザーっぽいものを取り入れ、しかもハムレットとして違和感のない素敵なものでした。龍真咲さんには、よく似合う(^з^)-☆
サウンドもこれまでになかなか無いロックサウンドで、ギターもオーヴァードライブな音が、ハムレットの狂気を含む役回りにマッチしていました。
ここで、ひとつお知らせしておかなくてはいけないことがあるのですが、私が当日座ったのはF-50という前から4列目ながら、舞台に向かって一番右側の斜めに切られた壁際でした。
実は、前半一幕目は、台詞がひとつも聞き取れませんでした。前の台詞の残響音が次の台詞に被り、しかも壁面にぶつかった音しか耳に届きませんでした。なので、歌の場面でも歌詞はわからず・・・。
幕間に係員に状況を伝えましたら、今回はステージ上にバンドがいるため、いつもとは違う音響で、PA担当と相談したが、調整はしてみるが改善は難しく、席を別に用意するのでそちらに移ってくれとのことで、結局二幕目は席を変えて観劇。
今度は全て良く聞こえました。
というわけで、前半は台詞なども想像しながら、音楽もだいたいの音を感じながらになってしまう最悪の状態でしたが、・・・それでも良かった!
後半も含め書きますが、龍さんの台詞は滑舌も良く、長台詞も、早口な台詞もばっちりで、しかも龍真咲ハムレットを作り上げていましたね。
幕間でのロビーでも、サラリーマン(何か会社関係の招待か)などが「いいねえ、宝塚ってすごいんだね」と高評価。
オフィーリアの蘭乃はなさんは、このあとトップ娘役として花組に組替えされるのですが、シェイクスピアの本よりも、狂気・錯乱状態がすごく、この人は今後花組で大きく化ける予感がしました。好演でしたよ。
それに、越乃リュウさんの邪悪で、臆病なクローディアスもうまく描かれていました。
ガートルードの五峰亜季さんも、妖しい色香を漂わせ、しかも母親でもあり、複雑な心情が表現されていて、最後の階段から落ちるところなどすごい迫力でした。
レアティーズの珠城りょうさんは、ハムレットとの決闘もあり、妹の死に絶叫し、怒りをあらわにハムレットに向かう様はなかなかのもので、いい役を見事にこなしていました。
とにかく、今回はハムレットという本来は4時間もかかる長丁場の舞台をコンパクトにまとめ、しかもロックのリズムとメロディーにのっての「To Be Or Not To Be」などの名台詞は見事に宝塚ハムレットに“ハマ”っていました。
龍さんは、このハムレットでさらに一回り大きな役者、歌手となったのではないでしょうか。
はっきり言って、私は『虜』になりましたね(*^o^*)
原典自体がハムレットの心はいったいどうなっているのか、さっぱりわからないくらいの上に行ったり下に行ったり、上機嫌だったり、不機嫌だったり、怒ったり、笑ったり、悩んだり、きっぱりと決断したり、大胆になったかと思えば細心だったり、誠実かと思えば不実に見えたり、激しいかと思えば優しかったり・・・そんなハムレットの不思議な“魅力”を龍さん、見事に自分のものにして見せてくれました。
すっごいねぇ、この人は!
月組には、さらに霧矢さんの下に明日海りおさんまで控えているわけで、今後二人の競い合いも楽しみです。
大劇場公演では、あの「スカーレットピンパーネル」の悪役ショーヴランを二人で役替わりで演じるとのこと。
これは今から楽しみです。二人のそれぞれの演じ方、じっくり味わいたいものです。
今回のハムレットは、完全に私の心に“ドンピシャリ”ではまりました。
何度も見たかったなぁ(^-^;
いくらほめても、ほめきれないくらいのいい舞台でした。
龍さん、月組の公演メンバーの皆さんありがとう、いいもの見せてもらいました。
【NowPlaying】 Conversion / Hanne Hukkelberg ( Cafe Electronica )
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