ソルフェリーノの夜明け/Carnevale 睡夢
宝塚歌劇団・雪組東京宝塚劇場公演『ソルフェリーノの夜明け/Carnevale 睡夢』を観ておりましたので、遅れましたが感想を書いてみます。
1859年のアンリー・デュナンの信念から生まれた、「赤十字思想」の誕生150周年に、その時代を描いたミュージカルの「ソルフェリーノの夜明け」が宝塚で公演され、ポスターなどを見ても“地味”な内容なのかなと思っていました。
しかし、雪組皆でつくりあげた舞台は非常に力のこもった作品でした。
どの場面も目が離せない、「人はなぜ戦争を繰り返し、祖国のためと言いながら傷つけ合うのか」というテーマが何度も観客の心を揺さぶる内容でした。
教会に設けられた野戦病院での、イタリア兵と敵兵とされるオーストリア兵の差別された治療・看護、そして一人の若いイタリア兵のハモニカ演奏から両国の兵士が歌い上げるアヴェ・マリアのシーンでは思わず涙が出て、止まらなくなりました。
この公演で退団される未来優希さんの迫真の演技も良かったし、汝鳥怜さん扮するオーストリアの将軍が、部下をかばい、処刑されるシーンなども涙なくしては見られません。
彩吹さんの誠実な医師としての立派な姿、そして愛原さん扮する看護婦アンリエットへの純愛にまたまた涙・・・。
今回は男性の観客も多く、このミュージカルは観客も含め、心がひとつになるような感動の大力作でした。
水さんを中心とする雪組、“渾身の作品”でした。
この作品でもうひとつ感じたのは、カーテン前の演技が多く、その後ろでは大きな舞台転換が行われ、内面を描き出す少数での濃密な演技と、パッと転換した舞台での多人数での演技の転換が見事にメリハリを出していました。
これは私が昔見ていた宝塚を彷彿とさせてくれました。
こういう舞台転換もいいですね。すっかり懐かしい気分になってしまいました。
ショーの方は、衣装も鮮やかな色彩で、しかも豪華!
退団される彩吹さんをフィーチャーしたシーンも涙もので、楽しいステージはあっという間に時が過ぎ去ってしまいました。
まだまだ見たい!と思う躍動感あふれるステージでした。
娘役トップの愛原実花さんは、すっかり色気まで感じさせるようになり、もう一人前のトップスターですね。
ステージの進行が切れ目をつけるようなものでなく、連続して行くような“つくり”で、これも新鮮でした。
こういうのも、観客としては身をまかせるような気分に浸れてなかなかいいものです。
驚きの水さん女性役も有り、早変わりにもびっくり!サプライズ的な展開もスパイスが効いたような感じで、これもポイントとなりました。
様々な連続するシーンが最後まで飽きさせることなく、大満足なショーでした。
彩吹さんと雪組皆との別れを連想させるシーン・・・ジーンときました。
立派な男役でした。彩吹さん最後までがんばってください。
雪組の今回の公演、観に行けてよかったです。
そして水さんのラストまで東京宝塚劇場では、あとひとつの公演になってしまいました。
水さんの今までのステージを思い浮かべながら、気持ちを盛り上げて秋にもう一度雪組に会いに来たいと思います。
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