日本語の作法/外山滋比古を読んで感じたこと
表題の『日本語の作法/外山滋比古著(新潮文庫)』を読みました。
・語尾のイントネーション
・うるさい大声
・親しき仲の遠慮
など、どの章も面白い内容でしたが、とても気になったのが「ことばはやさしくわかりやすく」という項目です。
NHKの新会長が挨拶しているのをテレビで見ていた著者が、「コンプライアンス」という言葉が会長の口から飛び出した瞬間にスイッチを切ってしまったとのこと。
「就任の挨拶くらい言論機関の長らしくもっと考えてほしかった」というのです。
受け手にやさしい言葉を意識せず、こなれていない言葉をむやみに使うのは努力不足だというのがその趣旨です。
○外来語やカタカナ語を乱用するのは怠け
○相手を小バカにして、わからなけりゃわからない方が悪いという思い上がり
と、手厳しいのですが、実は私も常々そう思っていました。
○今の日本人は教養が不十分で、ものをよく考えないから、あいまいなことをカタカナで誤魔化して恥ずかしいとも思わない
と、またまた手厳しいのです。
以前にも、会議の中で「BPR」「BPR」と、連呼する御仁がいたり(※「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」企業などが活動目標を設定し、それを達成するために業務内容や業務の流れ、組織構造を分析、最適化すること・・・まあ、仕事の内容をその組織や手順まで見直そうというようなものです)、「B2B」「B2C」という言葉を、さも世の中の人達は皆知っているとでもいうかのようにペラペラとしゃべりまくるいけすかない営業もいます。(※それぞれ企業間の取引、企業と一般消費者の取引を指します・・・だったらそう言えばいいじゃん(^-^;))
「コアコンピタンス」を会話の途中に入れて、なんだか得意そうな人もいました。(※他社に無い独自技術みたいな意味です。最初っから、そう言えばいいんだよね!日本人なんだから(-_-;) )
いずれの言葉もそれが発せられ、わからない人は「どういう意味だろう」と思ったまま、そこからの話がよくわからなくなってしまいます。せめて、そういう専門用語的な表現を使いたかったら、使った本人がそのあとにすぐ簡単に説明してから、話を続行すればよいと思うのです。
で、そんな人が一人、二人いると、会議は結局なんだかよくわからないままに進行して、よくわからないままに妙な結論で落ち着いてしまったりします。
結局は、知ったかぶりしている人のおかげで会議は実のないものとなってしまうのです。
できるだけ平易で、誰でもわかる言葉で代用できるなら、代用し、新しい言葉をどうしても使いたかったら、しつこいと思われるくらいその都度言葉の解説を入れることだと思うのです。
きょうは、外山滋比古さんの著書を読んでちょっと感じたことを書いてみました。
【NowPlaying】 You Are The Sunshine Of My Life / Brian Dee Trio ( Jazz )
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