『イントゥルーダー/高嶋哲夫』読みました
『イントゥルーダー/高嶋哲夫著(文春文庫)』を通勤時に読みました。
1999年の作品でサントリー・ミステリー大賞を当時受賞したものだそうです。
作者は経歴を見ると、技術者で、この道に入る前には、かなりの業績を残されている方のようです。
作品の舞台はITと電気技術、海洋地形や地盤の話などを絡めて展開され、主人公もその息子も天才的なコンピュータ関連の技術者という、作者の経歴が生かされたものです。
主人公の技術者は、ある日突然、自分に学生時代同棲していた女性が生んだ息子がいることを知り、そこから数奇な物語が始まります。
その息子は、初対面時には危篤状態でついにひとことの会話もできずに別れることに。
その息子の20数年の人生をたどりながら、息子が巻き込まれた事件に深く関わり、そうしていくなかで、次々と関連する人物が現れ、それぞれがあまりにも意外な形で人物像を変貌させていく・・・「あんまりだ」という場面も多く、最後までどうなるかわからないストーリーでした。
“いい人”だと思っていると、とんでもない人で、事態はどんどん悪化して行き、「そんなぁ」と思うことがいったい何度あったか。
これは読んでみてもらうしかありませんが、・・入り込んでしまいます。
物語中に、スーパーコンピュータの開発が難航し、バグを時間をかけて取っていくシーンがあったのですが、そこに登場する人物たちも、私がかつてIT関係の部署にいて、「ただ頭が良いだけでなく、何か天才的な“カン”というか、“ひらめき”のある人材がこの世界には必要だ」と感じたことがあるのですが、まさにそういう人が描かれていて、技術者の作者らしいなと感じ、同感するところが多々ありました。
そんなことも含め、それぞれの人物像なども興味深く感じながらあっと言う間に読了。
何時間かかけて、どこかに出張・・などというときにはおすすめのミステリーでした。
10年以上前のものなので、ちょっとIT関係のところが古い感じなのですが、それは差し引いて読めばまったくOKです。
きょうは、一冊おすすめの本でした。
【Now Playing】 Chasing Afer You / Erin Bode ( Pops )
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