『田中一村・展』に
最近、千葉市美術館の企画はかなり面白そうなものが続いています。
「伊藤若冲・アナザーワールド」「MASKS 仮の面(かりのおもて)」に続いて、今回は「田中一村」です。
先週と今週のNHK日曜美術館でも放送していましたが、一村は栃木県生まれで、千葉で20年過ごし、齢50にして(昭和33年)、奄美大島に渡り、そこからは奄美の方々にお世話になり、さらにやがて個展を開くための資金や、もちろん絵を描き続けるための資金を捻出するためにも働きながら、亜熱帯の植物や鳥などの動物、そして海、自然を描きました。
しかし、結局、作品を公表する機会を得ることもできず、無名のまま没してしまった孤高の画家です。
世に名前が出たのは1980年代のテレビ美術番組で取り上げられてからだったそうです。
千葉在住時の、展覧会での入賞を目指していた頃の作品も非常に味わいがあり、また、私のように地元のものにとっては、ノスタルジーを感じる作品が多数で、そこまでを美術館でぐるぐると回って見ていても、かなりヘビーなくらいの作品が多いのです。
しかし、自信作が入選できなかったのを機に、一番の自信作を斧で割り、燃やしてしまい、単身奄美に。
奄美に行ってからの作品群は、人をその場から立ち去ることができないようにするくらいの迫力というか・・いや、もっと異なる感覚・・一村の描いた奄美が厳然として時間が切り取られたようにそこにあるのです。
特に美術館の展示室最終部分では、圧倒的でした。
ほとんどの人が動くことができないような状態になっていました。
色使いや、描写もすごいのですが、そのたたずまいというか、一村自身が見ていた常人には到達できない境地を目の前の絵から感じ、私も怖くなるくらいでした。
話題が話題を呼び、美術館内はものすごい人の数で、残念ながらじっくりと鑑賞するとまではいきませんでした。
しかし、鑑賞後にロビーに出ると、皆その図録を購入しようとしていて、しかもそれが「完売」でした。
好評につき、増刷が決定し、その場で長机を4台も出して、まるでデパートのお中元商戦のような感じで予約販売をしていました。
その「買いたい」「手元におきたい」という気持ちは、私もよくわかりました。
いっしょに行った妻も購入することにして、その場で予約いたしました。
行ってよかった、田中一村展。
9月26日(日)までやっているので、千葉市近郊にお住まいの方で、絵に興味のある方には“是非”とおすすめいたします。
【NowPlaying】 Parfume de Arles / 高桑英世 ( Instrumental Music )
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田中一村展、行きたいです!ちょっと遠いなあ(笑)
巡回して来ないかしらね。
この人の描く世界は、深くて心が奪われますよね。
投稿: みい | 2010/09/20 13:00
みいさん、つづいてこんばんは!
一村、たしかに深いです。
妻が注文した図録が届いたら、またじっくりと味わおうと思っています。
一村の美術館は奄美大島にあるんですね。
今回その作品の多くが千葉に来ているのだと思いますが。
しかし、奄美も遠いですねぇ・・・。
投稿: はっP | 2010/09/20 20:33