帝劇・エリザベート
先日、帝国劇場で上演されている「エリザベート」を観に行ってきました。
宝塚でないエリザベートは初めて見ることになります。
つまり、男は男が演じるわけです。当たり前だけど。
初めてなので感じたことを、どんどん書いてみます。
観客はおばちゃんが多い。しかも、宝塚劇場で100人に一人くらい見かける“うるさがた”の人を一堂に集めたみたいな感じです。
劇場は、重厚で古めかしい感じ。
舞台装置、及び関連施設は宝塚の方が大がかり。
ボーカルの音声は、主役のトートに黄泉の国から歌っているらしくエコーがかなりかかっている以外は、ナチュラルな聞こえ方で、実力が問われるくらいに自然な歌声に聞こえました。
そして、実力のある歌声でした、皆さん。
オーケストラの演奏は非常にオーソドックス。宝塚の演奏が時々観客を煽るような感じになることがありますが、そんなところは微塵もありませんでした。なので、演奏は落ち着き、演者が観客を“のせ”ていく感じ。
死に神のトート役まで全てが女性の宝塚は非常にシャープで美しく、歌も切ない感じが漂うのに比べ、帝劇版は地の底の方からわき上がるような男性の歌声が素晴らしく、女性のボーカルとミックスされていくと、それはそれは感動的でありました。
帝劇では、主役や主要な役に役替わりがありますが、私の観た回は、エリザベートが元宝塚男役トップスターの「朝海ひかる」、トートは「石丸幹二」。
ゾフィーはこれまた元宝塚男役トップスター「杜けあき」。ルドヴィカは、やはり元宝塚月組を牽引していた娘役の「春風ひとみ」でした。
宝塚の人達がこれほど加わっていても、宝塚と帝劇版ではまったく“別もの”に感じました。
宝塚はもちろん男役が主役なので、トート閣下を演じるトップ男役が中心に据えられていますが、帝劇ではタイトルどおりエリザベートが中心。
ダーティーな部分もどんどん舞台上で演じられるのが帝劇。
宝塚ではエリザベートが夫(策略に引っかかり、商売女に手を出す)に性病を感染させられてしまうところなどは完全カットでした。ルイジ・ルキーニ役の髙嶋政宏はダーティーな部分を一手に引き受けて舞台上を縦横無尽、出ずっぱりで、ここも宝塚とはかなり異なりました。
帝劇版は全体にリアルだけど、芝居としてどっしりとして、観客をその世界に誘ってくれる素晴らしい空間を提供してくれるものでした。
一方宝塚は、悲劇的な物語であるのに、美しく、ファンタジー的な要素が強く、しかも夢が存在している感じ。
どちらも捨てがたいが、でも、まったくの“別もの”で、どっちもこれからずっと楽しみたいと感じたのでした。
個人的には、ゾフィを演じた杜けあきさんの演技に特に引かれました。
上手いし、意地悪な役なのに気品がある、そして終演後の姿が、あの宝塚時代を彷彿とさせる美しさと可愛さまで舞台上で見せていて、とてもうれしい気持ちになりました。
そして、杜けあきさんと、春風ひとみさんが同時に舞台に立っているのを見たときには20年前にタイムスリップしたような気になりました。
二人ともあのときのまま・・のように感じ、ちょっとジ~ンときました。
主役の朝海ひかるさんのエリザベートも、その時代時代によって、そしてシチュエーションによって巧みに演じ分けられ好演だったと思います。トートの石丸さんも。
まとまりませんが、・・また行きたい。そんな気持ちになりました。良かったですよ。
【NowPlaying】 サングラス / Kenny James Trio ( Jazz )
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