『小さいおうち』はすごい!
直木賞受賞作、『小さいおうち/中島京子著(文藝春秋社)』が気になって、気になって仕方なかったのですが、ついに読みました。
これはね、すごいですよ。
映画「Always三丁目の夕日」で昭和30年代の様子が見て来たように描かれていましたが、ここでは昭和10年代から終戦の頃までが、それこそ“見て来た”ように描かれています。
始まりは主人公の“「平井家・女中」タキさん”の現在のところから始まり、タキさんは自分の“女中生活”をノートに回想として書いていき、それをタキさんの「甥の次男」が盗み読みしていくという展開です。
その「甥の次男」はまさに現代の若者で、当時の「さまざまな、事件・事変・戦争」を歴史の教科書で習ったごとくに挙げ、「そんな明るい生活だったはすがない」とタキさんに迫るのですが、・・・いやいや、どんな時代でも人というものは、楽しみを見つけ、おしゃれをして、おいしいものを食べ、家族の絆や、・・この本のキモとなる“道ならぬ愛”もしていたのです。
それが、まさに眼前に繰り広げられるように、この本の中で描かれているのです。
読んでみると驚きますよ。“Always”みたいに画像としてでなく、自分の想像力の中で生き生きとその時代が動き出すのです。
自分がその時代の住人になったみたい。
私がこの本を購入した三省堂書店・有楽町店では、「タキさんマップ」という一枚の書店員がつくったコピーが添えられ、タキさんが好きだったお店や、平井家愛用のお店などで今だ残っているところを紹介しています。
作中のお店をめぐってタキさんを身近に感じるという、素晴らしいものです。
「今から100年も経たない、ちょっと昔の東京。戦争が近付いていたけど元気に、たのしく、誇り高く、女中のタキは生きていました。」というコピーも書かれていました。
ええっ!?というストーリー展開も素晴らしいのですが、ぜひ上記のような“気分”を味わってもらいたいと思いました。
「戦争のあった時代」イコール「真っ暗・暗黒の時代」で、人々は悲嘆にくれて日々生活していた・・という通り一遍の理解のようなものは、今の日本に蔓延していると思いますが、人はそんなに毎日悲嘆にくれて生活などできるものではないのです。
うちの母親の話などを聞いてみても、子供だった戦時中の話を、さまざまな家族や友達との思い出とともによみがえらせ、その表情に生き生きとしたものを見せてくれます。
この本をぜひ亡くなったコラムニスト「山本夏彦」さんに読んでもらいたかった。氏は、この本に出てくる時代の普通の人々の生き生きとした毎日をあらわすようなエピソードをいつも探していました。「自分でも暗黒だった覚えがない」といつも書かれていました。
いろいろと書いてしまいましたが、この本の面白さは格別です。
ぜひ、楽しい読書をしてください。
「阪急電車」に次いで、またまた素敵な本のご紹介でした。
【NowPlaying】 Oh ! Darling / The Beatles ( Rock )
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みいさん、こんばんは(^O^)
この本は、今年に入っての一番のおすすめです。
淡々と書かれていますが、たぶん、その裏側では膨大な当時の資料が集められ、読まれ、吟味されてきたのだろうと想像されます。
不思議な空気感の本ですよ。
楽しんでくださいね(^-^)v
投稿: はっP | 2010/09/09 23:34
なんか面白そうですね。こういうの好きです。
本屋さんで見て、買おうかどうしようかなと思っていたほ本です。
今度買います!
投稿: みい | 2010/09/08 21:26