これを読んだ方がいい人ばかり・・・私も
『スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン/カーマイン・ガロ著/井口耕二翻訳(日系BP社)』を読みました。
スティーブ・ジョブズといえば、もちろんAppleのCEO、iPhoneやiPadのプレゼンなどをテレビやインターネット上の動画サイトなどで見たことのある方は多いと思います。
この本では、徹底的に過去のジョブズのプレゼンを解析し、彼が何を言ったか、声の強さは、アクセントをどこに置いたか、どんな仕草だったか、そのときステージ上のスクリーンに映し出されていた文字や画像は何だったか、ということを詳細に載せ、なぜそれが効果的であったのかを事細かに調べ上げています。
スクリーンには、見ている人の印象に残るもの「画像のみ」「文字ならワンフレーズ程度」までしか映さないことや、たとえば、コンピュータのプレゼンであれば、それによって得られるであろう未来の楽しい世界を語ることが大事で、決してパソコンのスペックなどを長々と解説しないこと、など、興味深いことが次々と書かれています。
私も、説明会や勉強会、その他仕事で様々な先生方の講義やプレゼンを経験してきましたが、多くの人はパワーポイントに“これでもか”というくらい文字やグラフやイラストや表などを突っ込みます。
とにかく“漏らしちゃいかん”というか、「これは載せておいたからね」という責任転嫁的な傾向さえも感じられます。
パワーポイントだけでなく、おしゃべりも、細大漏らさずしゃべって、おなじように「責任転嫁」をしているように感じるものがとても多いと感じます。
よくあるパワポ画面は写真のようなものです。
これは紙に2ページ分出力した参考例ですが、とにかく、こんなにいっぱいモノが書かれ、貼り付けられたものをスクリーンに映し出されても、見る気も起こらないのではないでしょうか。
それに、話し手側が自分だけわかっているので、随所に専門用語が入り、語り始めに「きょうのストーリー」みたいなものを示してくれるなんてことは、ほとんどありません。
言いたいことがあるのだったら、「きょう、お話ししたいのは、3点です。○○と○○と○○です。これだけ!」と言ってくれると、聞いている人は「そうか、そうか」と安心して話に入り込めるのですが・・・。
ま、というようなことが縷々書かれている本なのですが、ただジョブズのプレゼン部分を読んでいるだけでも楽しくなってしまう本です。
だって、ジョブズも話して楽しいのだろうけど、聞いているこちらも楽しいのです。
つまり、これが“コツ”なんじゃないでしょうか?!
また、ジョブズはものすごい時間をかけて、プレゼンの練習をしているとのことで、その努力は並みではないようです。
そう、大事なのは練習を重ねることで、そうすることによって、本番中にハプニングが起きても、そうと感じさせずに進行させることができるのだとも書かれています。
とにかく、この本は人前で自分の考えなどを発表するようなことがある方には素晴らしい一冊になること間違いないでしょう。
私も何度か読み直したところが何カ所もありました。だから先に進んだかと思うと、また後戻りしたりしていたのです。
つまり、勉強になりつつ、楽しいのです。
仕事関係でのおすすめ本の紹介でした。
【NowPlaying】 Tenderly / Hank Jones Great Jazz Trio ( Jazz )
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