団鬼六の凄まじい人生の本
『快楽なくして何が人生/団鬼六著(幻冬舎新書)』を読みました。
いやはやこの人の人生、まさに破滅的です。
末期の腎不全を患い、唯一の延命策である人工透析を拒否し、思うがままに最後まで生きようとしている著者なわけですが、その父親も同様に破滅的です。
何度言われても相場に手を出し、どんどん身を崩して、落ちて行き、家族を悲惨な目に遭わせても、「運が悪かっただけ」と寝込んでしまい、背を向け、それっきり。・・・ひどい。
学生時代の著者の学友からも金を集めさせ、それをまた相場につぎ込んで破産。
著者も友達に合わせる顔がなく、夜逃げするが、でも周囲に諭されて詫びを入れることに。
親戚に借金して学友に返済する金を集めると、また父親が「その金を倍にして返したら、もっと喜ぶ」と、それまたひったくるようにつぎ込んで再度の破産。・・・ほんとにひどい。
返す刀で、父親は、四十も過ぎたのに二十歳そこそこの女と逃げ、今度はその女が暴力をふるう著者の父親と別れたいということになり・・。
別れ話の場に息子である、まだ学生の著者が立ち会うという修羅場も経験。・・・ひどすぎる。
著者も著者で、せっかく、文学賞などを受賞して文筆業を生業にできそうなのに、文壇バーのようなものを開業し、まったくふるわず、店の4人のホステス全員と情交を結び、店を閉め、また夜逃げする前に4人との別れ納めに二日間で四人と“いたした”状況が書かれていました・・・(-_-;)
文壇に復帰してからも、大学に入学したが、親元が破産してしまった女子大生のあっせんを受けて、卒業までの愛人契約を結んだときの状況が、その愛欲の世界と共に詳細に書かれていました。・・・はぁ・・・。
さらに、その女子大生にその後仲人を頼まれるなどのハチャメチャな人生模様。
その他ありとあらゆる信じられないような出来事が、著者本人のみならず、周囲の異常な人達に及び、怒濤の勢いで書かれています。
あまりの凄まじさとスピード感で、読んだら驚きますよ。ついていくのが精一杯!
過激な描写にびびらない方は、ぜひお読みください。
自分の人生と比較してみると、人生そのものについての考え方がかなり変わってしまうかもしれません。
いやぁ、すごかったわ、この本。
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