問題の地に行ってみて
仕事の関係で群馬県吾妻郡長野原町に出かけました。
一時、新聞・テレビなどでも話題になっていた「八ッ場ダム」建設予定地がある、あの場所です。
写真は、よく報道で象徴的に使われていた「湖面2号橋」(今は不動大橋と呼称されています)です。
橋自体の工事はほぼ終了し、両岸への接続工事が進められていました。
もし、現在停止されているダム建設が再開された場合は、やがて湖面を渡り、住民の重要な生命線となる橋の役割を果たすわけですが・・・。
この橋は、鋼・コンクリートを併せて用いた構造で、軽量、安価な施設でした。
ダム湖となった場合には、橋脚が浮力により浮き上がることを軽減させるため、中に水が入るような仕組みになっているとのこと。建設する側は技術の粋を尽くし、懸命に取り組んでいます。
こちらの写真は、既に出来上がっている仮排水トンネルの出口部分です。
景勝を生かすため、出口から先は現在の自然のまま残すことが出来たようです。岩盤が固かったのが幸いしたとのこと。
これにも住民の願いの強さがあらわれて、このような形になったらしく、私も見ていて確かにこの景色は代え難いものを感じました。
この写真は、ダムに沈む住民の住まいを代替地に移設するため造成している高台で撮ったものです。
写真の山の下半分くらいは湖底に沈むのです。
あちこちでお墓を移設した場所を何カ所も見ました。
そして、神社やお地蔵様などが移設され、住民の皆さんの今までの居住地に対する思いの深さを強く感じました。
家、家族、町の人達、想い出、そして昭和27年から続いているダム建設に対する問題は、体力的にも精神的にもいかばかりか、と思わずにはいられません。
そして、昨年の政権交代により、町も住民の方々も大きく翻弄されるようなことになっているのが現状です。
洪水調節機能や、治水、利水、発電など、ダムの役割は大きく、泣く泣く移転された方々のための代替地に加え、それに伴う道路、鉄道の移設等、たいへんな費用もかかりますが、既に移転されている方がたくさんいるわけで、それについては進めなければないわけで・・・。
長い歴史の中で進められてきたことが、去年は一転・・・、地元の方の労苦は、はかりしれません。
現在進められているダム建設工事に対する検証を早く行って結論が出ないと、この先の見通しさえ立てられない状況でした。
もし、政治的に象徴的な形で利用するような結論がなされるなら、それは住民不在の結果になるのではないかと思いました。
私自身も、報道などで見聞きしているだけでは、わからないことが多いと強く感じました。
現場のあのダム以外の工事が進み、温泉街は閑散としているような状況、空気は、はたからながめているだけではわかりません。
報道などを一方的に信じることも、どうかと思いました。
近々、新大臣就任後初めての政務官以上の視察もあるようで、早く結論を、と思いました。
【NowPlaying】 自由の賛歌 / ケネディ大統領の声+コーラス ( NHK-FM )
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長閑で平和な村が、政治で翻弄される、それも何年もにわたって。報道でしか知ることのない場所ですがそこに住んでいる人たちの想いは、解る気がします。
>政治的に象徴的な形で利用するような結論がなされるなら・・・・
おっしゃるとおりだと思います。
住人の想いを解る政治家っているのでしょうか?
最近は、マスコミ報道だけをうのみには出来ないことが多すぎますから。
投稿: みい | 2010/11/06 11:37
みいさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
先ほどニュースを見ていたら、本日、国土交通大臣、副大臣、政務官らが現地を訪れたとのことでした。
ちょうど記者を前に、コメントしていたのは、このブログの三番目の写真を撮ったその場所でした。
どの部分が湖底に沈むか一望でき、移転した住民の内、一部の方々の移転先も目と鼻の先、沈んでしまうお墓を移転させた場所も間近に見ることができる場所です。
そこで、大臣は「ダム建設中止」の件については、「棚上げ」すると発言していました。
何度聞いても意味がわからなかったのですが、結局、当分の間“ほったらかし”にしておく?ってこと・・??
何十年も苦渋を嘗めさせられ、住民同士のいがみ合いにも発展し、全体の方向はどうにかなろうかという時に、中止を宣言され、さらに「棚上げ」!!
ひどいことだと思います。
方向性を早く打ち出さないと、地元の方々はどうすればいいのか・・・と、思いました。
投稿: はっP | 2010/11/06 20:01