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2010/11/28

千住真理子さんの本を読んで

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このあいだ、このブログでヴァイオリニスト・千住真理子さんのお母さんの書かれた本をご紹介しましたが、今度は真理子さん“ご本人”の書かれた本、『聞いてヴァイオリンの詩/千住真理子著(文春文庫)』を読みました。

お母さんの本にも書かれていましたが、ご本人は天才少女と呼ばれて、かなり苦労してきたようで、二十歳の頃に一度ヴァイオリニストを辞めています。
ホスピスへ演奏に行ったことがきっかけとなり、また復帰されるのですが、でも、その後も肉体的にも精神的にもきつかった時代が随分とあったようです。

そのたびに、自分の気持ちを立て直していくわけですが、このような高名で実力も有り、立派な方でも常に悩み、苦しんでいるのだと知って、少し“ほっ”としたような気分になりました。

私のような凡人でも日々悩みつつ生き、時にはひどく苦しみ、袋小路に入ったような状態になることもしばしばです。
そんなときは、自分の力の無さ、不甲斐なさに、自分が厭になり、地獄にでも堕ちたような気になるものです。


また、幸か不幸か、精神的なことばかりでなく、小さい頃から病気ばかりしていて、伝染病にかかったり、ぜんそくに苦しんだり、吐血して運び込まれたり、十二指腸の手術、そして近年には心臓の手術も行いました。
長い人生の中、二年間くらいは病院のベッドにいたことになります。

10年以上前には、あまりにもひどいことを言われて丸一日口がきけない状態になり、休日で病院が閉まっていたため、近くの山の中にある、一般の患者は行くこともない麻薬患者を隔離しているような国の療養所に向かい、精神科の先生にしゃべることができるまで診察室でお話をしてもらったことなどもありました。

そんなんばっかりですが、そのたびに何とか切り抜け、立て直してきたわけで、今の生きている状態は、ある意味“おまけ”みたいにも感じています。

千住さんは、コンサートの後に、聞いてくれた人たちから思いもかけぬ「あたたかい」言葉や「勇気づけて」くれる言葉、エピソードなどもあり、そして何よりも結束の固い家族がいて辛い状況を切り抜けてきたようでした。
そのような部分には、特に読んでいて心に残るものがありました。

千住さんは、特にヴァイオリニストという、人の心に直接うったえかけるようなお仕事で、その反応により自分の気持ちを強くしたりできる部分もあると思いますが、それでも本を読んでいると、けっこう孤独な職業みたいです。

私の職業は、直接、人の心にうったえかけるということは出来ませんが、まやかし的な仕事をせずに生きることで、何かを得ることができるかもしれません。

明日からの仕事も、今まで以上に“心”を入れて生きて行こうと思いました。

きょうは、そんなことを感じて・・夜になりました。


【NowPlaying】 It Won't Be Long / Beatle Jazz ( Jazz )

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