有川浩「レインツリーの国」を読んだ
『レインツリーの国/有川浩著(新潮文庫)』を読みました。
テーマとして取り上げているのは、聴覚障害を持った女性の恋愛模様、そして実際にそのような障害をもった人と付き合ったときに起こることが、かなり現実味を帯びて書かれています。
パソコンの画面上では、何のこともなく共感したり、惹かれ合ったりしていた男女が現実の世界で出会ってみると・・・、というお話で、読んでいると作者は男の気持ちも、女の気持ちも分かりすぎているのではないかと思うくらい両者の日常における気持ちが巧みに描かれています。
聴覚障害についても、かなり調べられていることがよくわかりましたし、インタビューかアンケートなどを通じて、聴覚障害を持つ方達が日常感じていることも、かなり詳細に研究しているとも感じました。
ただ、このお話は、単なるそういった立場の方が恋愛をしたら・・というだけのものではありませんでした。
非常に“純”な愛が、ストレートに表現されていて、恥ずかしいけど今朝の電車の中で読みながら涙が「つう~っ」と流れてしまいました。
終わり方も、私の嫌いな“救いようのない”ものではなく、未来への希望が感じられるものでした。
純粋で正直な「恋愛」をしばらくしていない方、これは読んでおいた方がいいと思います。“いい話”ですから。
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