音楽と対峙しろっ!
『最後のジャズ入門/中山康樹著(幻冬舎新書)』を電車内で読みました。
中山さんの本は、ジャズ、マイルス・デイビス、ビートルズ、ボブ・ディラン、アメリカン・ロック関係と、多数でしかも気づくと新刊が出ている感じですが、どれもやっぱり面白いのです。
この本と同様のジャズ入門的な本も中山さんは書かれていますが、今回は『最後の』と入っていて、ジャズを聞いてみようと思いつつ実際に聞いてみても???という人のために書かれた本・・というふうに一応なっています。
アルバムについて、枚数をたくさん買って来ても、一枚を聞き込んだ方がよっぽどいい、というようなことも書かれているし、名盤といわれるものを網羅的に聞こうとする初心者が陥りがちなところについても笑ってしまうような実例付きで解説されていて、それなりに「入門本」的なつくりになっています。
しかし、後半に突入すると段々本性がでてくるというか、過激になってきて、「・・・CDを聴き、ひたすらジャズのマグマめがけて邁進していくしかない。」と、気合いが入ってきて・・・。
『・・・首をかしげる人もいるかもしれない。だが、まちがっているのは、音楽のほうではなく、そういう態度ならびに反応を示す側の耳と感性であり、聴き手としての想像力の欠如による早合点にすぎず、これを克服するためには、繰り返し聴き込み、耳を鍛え、感性を研ぎ澄ますしかない。』
とまで、書いています。<(_ _)>
書き過ぎなんじゃないの、と表向き、私も思いますが、実は「そのとおりだ」と思いました。
【アーティストは音楽を創造し、聴き手はその音楽に想像力で立ち向かう】・・・これは名言です。
『ジャズという厄介な音楽には、そうしたアクティブな姿勢が必要であり、最良のジャズとはその“ふたつのそうぞう”が出会ったところに存在するということを・・・』
この部分も、強引な感じがしますが、私にとってもあまりにも“もっとも”なことであります。
ここからは、私のオリジナルで考えているところですが↓
・相手に、そして音楽に対峙する。
・対峙するためには、それなりの状態に自分をもっていく必要がある。
・相手の音楽がどういうふうに自分に対してぶつかってくるか、あるいは自分はどんな気持ちで音楽に立ち向かうか。
それが大事なんです、いつも私にとって。
誤解されると困るのですが、歌謡曲、ポップスとは聴き方が違うのです。それらは、聞いた瞬間にわかりやすく、親しみやすい、そしてほぼ万人に“ウケる”必要があるわけですが、私にとって、ジャズ、そしてロックについても、音楽に対峙する姿勢が無いと聞けないものなのです。
だから、中山氏に共感したのです。
演劇やミュージカルについても、また私には同様です。
ただ“面白おかしく見せてくれ”というのであれば、行かない方が良い。
自分から何も発するものが無く、単なる余興的なものを見たいのなら、「お呼びじゃない」のです。
そういうショーは、温泉地の観光旅館やホテルで見せてくれる・・誤解しちゃだめだよ、それが悪いって言っているのじゃないのです。それにはそれの世界があり、厳しい世界であるというのもわかって言っているのです。
ついでに書いてしまいますが、「宝塚を見たいのでよろしく」と言われることが時々あるのですが、そのときには、「舞台と対峙できる人か」 「舞台から何かを感じ取れそうな人か」 「音楽が好きか」 「何かあふれるような自分の気持ちをもっていそうな人か」 ・・と、その人について頭の中で考えてしまいます。
ディズニーランドのショーのように、誰もがすぐ見て楽しくわかるようなものを求めているなら、今の宝塚はもう“そういうところにいない”のです。
「ひやかし、お断り」ってことです。きょう書きたかったことは、この最後のひと言につきます。
【NowPlaying】 どよう楽市 / 残間里江子他 ( NHK-AMラジオ )
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