雪組「ニジンスキー」日本青年館公演
表題の雪組「早霧せいな(さぎり・せいな)」さん主演の『ニジンスキー』を観ていましたので観劇記を。
20世紀初頭の伝説のバレエダンサーであるニジンスキーの生涯を綴ったミュージカルです。もちろん、早霧さんは、このダンサー役を全うすべく、ダンスについては、かなりの稽古をしたものと思われました。
初っぱなから長尺のダンスシーンで観客を魅了せねばならない状況でしたが、なるほど力のはいった素晴らしいダンスでの幕開きでした。
宝塚でこれはいいのかと思うくらい、史実と同様、主役のニジンスキーは同性愛者で、所属するロシアバレエ団の主宰者・緒月遠麻(おづき・とおま)さんとのきわどいシーンもあり、「この作品は本気だ」と感じました。
早霧さんは、ニジンスキー像をつくりあげ、孤高の、そして狂気を含んだその人物像はなかなかのものでした。
それに、随所に出てくるダンスシーンも限界までやり切っていると感じました。
ラストの挨拶でもはじけまくり、“狂ったときの”ニジンスキーの腕ブルブルのフリをして爆笑をとっていましたが、かなり自信をつけたようです。
ニジンスキーを育て、愛し、憎み、復讐し・・という、男役でゲイ役全開のセルゲイ役、緒月遠麻さんは、男役として“ある境地”まで達したのではないか、と思うくらいの激しく重厚で、耽美的な印象を残してくれました。
文句なしの満点です。
そして今回の早霧さんの相手娘役、愛加あゆ(まなか・あゆ)さんは、前の青年館公演「はじめて愛した」から、さらに飛躍して、後半のニジンスキーを支え、セルゲイ役の緒月さんと渡り合うシーンでは力強く、ど迫力の演技でした。二歩も三歩も娘役として成長したように思いました。この方も素晴らし過ぎて満点です。
専科からの五峰亜希さんも、もちろん素晴らしかったのですが、今回はバレエ団の振り付け師を演じた大凪真生(おおなぎ・まお)さんも好演でした。
タイトルを聞いたときからも感じていましたが、とても地味に感じたこの公演、しかし中身は非常に濃く、熱いものでした。
ダンスも凄いし、緒月さんのバレエ団を主宰しつつ、あやしい人間関係をつくりだす“化け物(劇中でも本人が言っていた)セルゲイ役を中心とした濃密な人生模様も複雑で、見どころがいっぱいでした。
ずっしりと手応えを感じたこの公演、宝塚歌劇でまた“あらたな刺激”を受けました。
【NowPlaying】 Drive My Car / The Beatles ( Rock )
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