石田衣良さんの「シューカツ!」を読みました
『シューカツ!/石田衣良著(文春文庫)』を読みました。
タイトルどおり、就職活動の悲喜交々を綴ったものなのですが、同じ大学の数人の男女が「シューカツ・チーム」を作り、泣いたり、怯えたり、励まし合ったり、中には恐れをなして引きこもりになってしまう者が出てしまったりしますが、チームの人間関係は読んでいるこちらも勇気を得るくらいのもので、いい歳した私も感動しながら読んでしまいました。
OB訪問をする主人公の女性が会った先輩達には、素晴らしい人もいれば、愚痴ばかり言っている変な人もいたりして、それが“リアル感”を増して、私自身、このいやな先輩みたいに自分もなっているのではないか、と読んでいるうちに少し落ち込んだりもしました。
自然体で10年も務めている先輩が登場したときには、“穴があったら入りたい”くらいでした。
「自分は何をやっているのだろう」って。
とにかく主人公の試験の状況は(特に面接)、手に汗握り、いたたまれなくなるくらいの結果にこちらの胸が痛みました。
ラストに近くなると、いろいろと恨んだ“シューカツ”は、実は長い人生の集約されたものではないか、と主人公が思いはじめ、私も「そうかもしれない・・」などと、愚か者なりにしみじみと思いました。
様々な痛い目に遭い、苦しみ、ちょっと喜びがあったかと思うと、また“どんでん返し”・・・長い人生がそこに見え隠れしているのかもしれません。
主人公のシューカツ、結果は書きませんが、自分が大人になった今読んで見ると、色々考えることがありました。
石田さんの視点にはいつも“目から鱗が落ちる”ような思いが残ります。
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