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2011/10/06

「ひなた弁当」は心に沁みた・・ほんとうに。

20111006_hinatabento01


『ひなた弁当/山本甲士著(中公文庫)』を読みました。

50を目前に、突然勤めていた住宅建設会社をリストラさせられた「おやじ」の話です。

なぜか、“ひなた”という言葉にひっかかり、内容もほとんど確認せずにパッと手に取り、買いました。
何かこの本が「呼んでいる」ような気になったのです。

リストラされる前も、される過程でも、この主人公はうんとひどいことを言われたり、うまいこと騙されたりします。
しかも、何をやっても会社では気がきかず、おどおどしていて、家に帰っても奥さんに頭が上がらず、娘にも馬鹿にされているのです。

特に会社での様子や、リストラ後のあまりにも情けない様子は、・・・まるで“私自身”が描かれているようで、前半で読むのを止めようか、と思うくらい、読んでいる私にとっても辛い状況でした。
どうしても自分をなぞらえてしまう・・・。

どうにかこうにか職を見つけても辛い仕事で続けることが出来ず、死ぬことまで考えだした主人公に、私も一緒に辛い思いをしたのですが、ある日主人公が公園でドングリを見つけたところから物語りが急旋回して行きます。

古代から日本人が食べていたドングリのことを思い、図書館やインターネットで調べてドングリを調理して食べてみることから、主人公はノビルやタンポポ、その他野草を取り始め、妻に言われて会社に行っている“フリ”をしていたのですが、妻のパート中、娘の予備校勉強中に家に帰り、それらをいろいろ工夫して調理し、昼食として食べてみたりし始めるのです。

さらに、川で釣りをしている人から釣り方を教わり、フナやブルーギル、その他いろいろと魚を釣り始め、それらも様々な調理方法で食べていきます。

そんなことして何になるの?と、思うかもしれませんが、本人はスーツを着たまま野草や淡水魚をとってきて、それらを調理することで生き生きとし始めるのです。

そのあとは、会社時代に社内に入っていた弁当屋が廃業しているところに行って、引退した大将にお願いして“おかず”のほとんど全て自分でとってきたもので弁当を作り始めます。

その後も野草をとっていたときに声をかけられた人などとの不思議な関係と、ちょっとホロッとするくらいのいい関係が出て来たりして、不思議と心の中に何か温かいものが沁みてきました。

主人公に散々ひどいことをしたリストラした側の人達のその後も描かれていますが、リストラされるも地獄、するも地獄という結果が見えてきます。

ただ、主人公は収入も減ったし、何か特別エラくなったわけでもないのに、家族とも心の絆が出来、悪かった体調も回復し、何よりも自信に満ちた様子が、久しぶりに会う人達の目によって描かれていて、そこで思わずほっとして、そして涙が少しこぼれました。

思っていた以上に、素晴らしい本でした。
自分の中で何か考え方が変わったような気もしました。

ちょっと元気になれた、そんな本でした。よかったよ。


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コメント

こんにちは。
楽しんでいただいたようで何よりです。
また機会があればよろしくお願いします。

わわわっ、著者からコメントいただいてしまいました!
もったいないことです。

実はあまりにうれしくて、山本甲士さんの「わらの人」を本日買ってきました。
また、読後の感想をアップいたします。

山本さん、著者自らのコメントありがとうございます。
とてもうれしいです。

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