「センセイの鞄」を読んでしんみりした
『センセイの鞄/川上弘美著(文春文庫)』を読みました。
きっかけは、本屋で立ち読みしていたら、「あれっ・・これどこかで読んだような気が・・」と思っていたら、思い出したのです。
NHKのラジオで、ラジオ文芸館という番組があり、西田敏行さんと竹下景子さんで、この小説を演じていたのでした。
そのときは、最終回まで聞くことができず、でもお二人のなんともいえぬ“間”に引き込まれたことを覚えています。
谷崎潤一郎賞受賞のこの作品。
高校時代の教え子、30代後半の女性と、センセイ(妻は放蕩の挙げ句、事故死)70歳を超えている・・が、小さな飲み屋で出会い、ほとんどの部分が飲み屋での二人の会話やちょっとしたエピソードで繰り広げられる“恋愛”ものなのです。
互いに手酌で酒を酌み交わし、しみじみと、そしてボソボソと何ごとかを話していくうちにあまりに大人な恋愛感情が芽生えるのですが、互いになかなか言い出せない・・そんな微妙な関係が、私の最近“老いてきた感覚”にしっくりときました(* ̄∇ ̄*)
飲み屋の大将に誘われて「きのこ取り」に行ったり、おどろきのセンセイからの温泉へのお誘いがあり、そこでのあまりにもはかない二人の恋愛模様など・・しみじみ、しんみりのしっ放しです。
ただ、その二人の様子を追いかけているだけで、胸の中になにか、あたたかくて、そして哀しくて、うれしいような、そんな気持ちがほんのりと浮き上がってきました。
いい小説でした。
きょうはこのまましんみりしています。
【NowPlaying】 Lake Beauty 2 / Studio Usen ( BGM )
« 宝塚歌劇団・雪組『Samourai / サムライ』を見てきました | トップページ | 映画「カルテット」を見てきました »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「恋愛」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0219【 あの女の南瓜 くやしいけど 煮る 】(2024.09.10)
- 俳句を詠んでみる_0175【 あの夏の 高校生が 妻となる 】(2024.07.28)
- 「いちげんさん/デビット・ゾペティ」を読みました。(2024.07.23)
- 俳句を詠んでみる_0170【 月涼し ナイフで切る泡 ビアホール 】(2024.07.23)
- 俳句を詠んでみる_0163【 夏の夕 階下のクラリネット聴く 】(2024.07.16)
« 宝塚歌劇団・雪組『Samourai / サムライ』を見てきました | トップページ | 映画「カルテット」を見てきました »
コメント