『復活/カノン』観てきました
宝塚歌劇・花組東京公演『復活(レフ・トルストイ作) -恋が終わり、愛が残った- / カノン -Our Melody-』をすでに観ていましたので観劇記を。
花組、東京での本公演は昨夏の「ファントム」以来です。あのときは、観る度に主演・蘭寿とむ(らんじゅ・とむ)さんの演じ方が変化していて、とうとう“これだ”というものに出会えなかった印象がありました。
そして、今回はミュージカル「復活」がトルストイ作の悲劇的で不条理というか、運命の方向が常に悪い方に向いてしまうという悲しい作品です。
蘭寿さんが悲劇に耐えまくり、それでも静かに燃えて、己の奥底にある「心」に忠実に生きて行く・・というようなお話です。
いや、ほんとうに見ていて辛かった。
蘭寿さんは、このいかにもロシア文学と言える作品を「淡々と立ち向かう男」という形で演じていました。
存在感も前回より増してきて、なかなかに主演男役の風格も出て来たかな・・という印象。
そして、純情な使用人の娘から、蘭寿さん扮する伯爵にもてあそばれたと思い込み、どんどん身を落とし、どん底まで転落し、“淫売”と呼ばれるようになってしまった娘を真っ向から演じ、見事だったのが主演娘役・蘭乃はな(らんの・はな)さん。
今回は、全力で体当たりの熱演でした。
壮一帆(そう・かずほ)さんは、自分の愛に忠実になろうとして、何もかも失ってしまう主役の伯爵を支える友人の役。
壮さんには、ぴったりの役かと思うのですが、風格も、やんちゃなところも感じさせ、さらに人間味ある人物像をうまく演じていました。
愛音羽麗(あいね・はれい)さんは、やはり蘭寿さんとは「友」なのですが、後半の大きなストーリーの変化をうまく舞台上で見せていました。
愛音さんがどういう役回りかを言ってしまうと“ネタばれ”になってしまうので書けませんが、非常に物語の中で重要な役回りでした。
この人は相変わらずうまい。
また、花野じゅりあ(はなの・じゅりあ)さんも今回は愛音さんと組んでいい役をもらい、実力を発揮。
冤罪の主演娘役・蘭乃さんを蘭寿さんと共に助ける弁護士を演じた華形ひかる(はながた・ひかる)さんも好演!!花組には欠かせぬ、まさに“花形”男役だと感じました。
さらに元老院の検事役を演じた朝夏まなと(あさか・まなと)さんは、組替えも控えていますが急成長!
堂々とした男役っぷりを見せてくれました。
壮さんの彼女役を演じた、退団を控えている月野姫花(つきの・ひめか)さんは、活発であり、しかも美しく可愛い女性を魅力的に演じていました。独特の台詞回しも素敵です。惜しいです、退団が。
そして、蘭寿さんの婚約者を演じた実咲凛音(みさき・りおん)さんは、日本青年館で壮さんの相手役を演じて自信も出て来たようで、まさに“二番手”娘役的な位置に立って、蘭寿さんとの甘い時間が終わりを告げた時の哀しい様子を見事に背中で演じました。こちらも急成長株です。
物語はあまりにも主人公に過酷なストーリー展開でしたが、それでも花組のどっしりとした総合力でスケールの大きな作品に仕上げていました。
観る前には、ちょっと不安だったのですが、なかなか立派な仕上がりでした。高得点です。
幕間には、ロビーで雛飾りを見たりして気分をショー用に切り替えました。
さあ、いよいよショー。
豪快に楽しく始まったショー「カノン」は、花組らしいゴージャスで美しく、勢いがあり、さらに“大人”のショーでした。
シーンも衣装もバリエーションが豊富で、「これでもか」というくらいの内容の濃いものです。
トップコンビのダンスや絡みのシーンもたっぷりと見せてくれて、朝夏まなとさん中心の場面も有り、花組らしいリッチな雰囲気がとてもうれしいショーです。
トップ二人が白、組子がブルーの衣装でのラスト近辺のシーンはこれぞ宝塚というカッコイイものでした。
さらに、ラストでのトップコンビと壮一帆、実咲凛音による四人でのダブル・デュエットダンスはうっとりするほどの見事さでした。
壮、実咲コンビ・・このまま大型コンビになってほしいなぁ。
あとは、花野じゅりあさんが銀橋でダンスをしたあとそのままロケットの真ん中に入り若手と一緒にロケットダンスを繰り広げたときには、もう私、満面の笑み*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. じゅりあさん、素敵です。
また、月野姫花さんも目立つシーンをもらって美しく光り輝いていました。
可愛くてきれいな、いい娘役さんでした。いままで素敵な姿をいつも見せてくれてありがとう'(*゚▽゚*)'
今回は、ミュージカルはストーリー的には浮かばれない話でしたが、ステージは高得点。
ショーは花組らしく大人の鑑賞にたえる良いものでした。
行ってよかった(*^^*)
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