長い春の果てに/カノン・・花組市川公演見てきました
宝塚歌劇・花組全国ツアー公演初日『長い春の果てに/カノン』の二本立て、観てまいりました。
全国ツアーということで、組がふた手に分かれているため、少数精鋭ではありますが、初日を見た感想としては「とても良い」と感じました。
ミュージカル「長い春の果てに」は、かつて2002年に月組の紫吹淳・映美くららのトップコンビで公演されたものだそうです。私としては見ていないので、今回は全く新しい気持ちで見ました。
原作はアレクサンドル・アルカディという方なのですが、宝塚版は石田昌也先生の脚本・演出です。
ひと言でいうと「大人のシンデレラ・ストーリー」という感じ。
蘭乃はな(らんの・はな)さん演じるエヴァは、まだ14歳の女の子で、わがままでお転婆で、恋に恋する夢みる少女で、実は重い病気を持っている・・・やがて時を経て美しいピアノ奏者として主役・蘭寿とむ(らんじゅ・とむ)さんの前に現れる。
・・・最初の出会いのように、階段に靴が一足置かれているところで。
主演娘役の蘭乃さん、わがままでお転婆な少女を演じているところでは、まるで蘭乃さんの実の妹で宙組娘役のすみれの麗(すみれの・れい)さんを見ているようd(^_^o)。
双子なだけに、かつて蘭寿さんと宙組でやった「逆転裁判」の弁護士と秘書コンビの生き写しのようでした。・・ちょっと混乱(^^;)
主演・男役蘭寿さんは、冒頭から見違えるようなトップオーラを出し、演技も歌も堂々としていました。
ある意味、とても力が抜けていて、それが逆に余裕があるように見えました。
トップスターになり、花組に移ってからは、何か“トップ”の重責に耐えかねて悩み苦しみ、もがいているという印象がありました・・私が見てですが・・でも、今回はあの宙組でイキイキとしていた蘭寿さんが戻って来た、そしてさらに大きくなった、という印象を持ちました。
今回の、手術を失敗して希望を失いつつ、献体された遺体を医学生と共に解剖し、指導する医師、どう生きてよいかわからない状態から、かつての恋人、現在の恋人、わがままな少女、すばらしい友人達の中で自分の突き進む道を見出していくという・・蘭寿さんにぴったりの役です。
何度か書きましたが、トップのお披露目公演はこうしたピッタリと、しっくりとくる役を与えるのが本当は良いのだと私は思います。
舞台では、開くはずの扉が開かなかったり、開いたと思ったら他の電話台のセットが倒れたり、蘭寿さんも爆笑のアドリブを入れてステージは笑顔と笑い声の中、一部愉快なストーリーと共に楽しく進行しました。
途中までは“悪役”となった壮一帆(そう・かずほ)さんも、今回は今までと違い、力が抜けて蘭寿さんとのトップ・二番手コンビのあり方がとても自然になった感じ。
自分の思うライバル医師「クロード」を人間の深みまでわかるような演じ方をしていました。この人がトップになるのが楽しみです。
全体に心あたたまるいい作品でした。
トップ二人の姿は、ほんとうに宝塚を代表できるようなものに仕上がりつつあると感じました。
それと、桜一花(さくら・いちか)さんの蘭寿さんの元恋人役はほんとうにうまかった。いつも桜さんの演技には感心ばかりです。
今回は満点です。
さて、ショー「カノン」は、先の東京宝塚劇場で既に一度観ているわけですが、今回は全国ツアーということでメンバーも少なく「どうなるかな、スケールが小さくなってしまうかも」と思っていましたが、この作品自体が持つ“作品力”もありますし、花組はショーでの“大人っぽさ”が卓越していますので素晴らしいショーはそのままでした。
全体で押してくる場面もあるし、個々の力量が問われるシーンもあるしで、中身もぎっしり詰まったこのショーは実力のある組でないと演じ切ることはできないと思います。
なので、花組には持ってこいです。
ラスト近辺でのダブル・デュエットダンスのシーンで、蘭寿さんと壮さんが手を繋ぎ、蘭寿さんを中心にコンパスが弧を描くように壮さんが回転するところで、壮さんが「にこっ」と蘭寿さんに目配せをすると、それを蘭寿さんが信頼に満ちた目で受けたのをオペラグラスで確認しました。
壮さんも、同期の蘭寿さんとの関係が難しいこともあるかと思いますが、あのアイコンタクトは二人の現在の関係がわかるものだったと思います。
・・・壮さんの雪組トップはあるのか・・・。
最後の最後まで“見どころ”ばかりのショー「カノン」は大満足で終わりました。
実は5月17日(木)に、九州、山口、広島などを経て、また千葉県の東金市にツアーが帰ってくる予定になっています。
千葉の方々、この公演はいいですよ。東金文化会館(東金での公演はとても珍しい)に行ってみては!
【NowPlaying】 Vanilla Sky / Paul McCartney ( Rock )
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