1971年のJazzレコード本
古本屋で買った1971年発行のジャズ・レコードに関する本、『一枚のJAZZレコード/岩浪洋三・監修(株式会社・自由国民社)』を読みました。
写真のように丁寧にパラフィン紙でくるまれて売られていました。
買ったお店は、東急東横線「学芸大学駅」からすぐそこの『流浪堂』という、かなりマニアックな古書店・・というか、ちょっとアート系な、一日中でも居たいような不思議で素敵なお店でした。
大阪市東京事務所の“イムイム”さんの舞台を近くの劇場に見に行ったときにのぞいたお店でした。
この本は、詩人・富岡多恵子、落語家・立川談志、作家・筒井康隆、作家・湯川れい子、俳優・高島忠男、歌手・沢たまき、作曲家・前田憲男、ジャズ歌手・マーサ三宅、演奏家・北村英治他まだまだたくさんの方々がジャズ・レコードについて、そしてジャズへの想いを書いているのです。
で、この1971年という年代はとても微妙で、その頃台頭してきたフリージャズや、電化され始めたジャズについて、「いいぞ、いいぞ」という“ノリノリ”派と、「なんだかわからん」と理解に苦しんでいる人。
さらに、1950年代後半から60年代前半くらいにかけてのモダン・ジャズへの“アツい”想いを語る人、デキシーランド・ジャズやスウィング・ジャズに懐かしみを感じている人などなど・・・。
それぞれがそれぞれに、自分にとってのジャズを書いています。
これは当時の雰囲気を感じるのにはちょうど良い本だと思いました。
いくら、往年のジャズ・ファンに聞いてみても、当時のジャズを取り巻くファンの、そして世間の感覚というものはなかなか伝わってこないのです。
この本を読んでいると、時代の空気は、まさに混沌としています。
がっしりと、ジャズという音楽に対峙して聞け!という硬派な意見から、同じ音楽なのだ、クラッシックなどと同じく良い音楽は良い音楽として聞けば良いのだ、という書きっぷりの人もいます。
それに、ジャズが電化され始めた時期であり、ロックとの融合についても触れられている一文もありました。
まさに時代は、モダンジャズがロックに時代の先端を取って代わられた時期であり、ロックとの融合なども始まっていた頃であったことがわかりました。
ただ、一番“アツい”のは、やはりモダン・ジャズを“ガンガン”に聞いていた人たちのようです。
ジャズを毎日の“ご飯”のように食べ(聞き)、ジャズという音楽の向こうに人の生き方、自分の青春を重ね合わせていたのではないでしょうか。
私にとっても、1950年代後半から60年代前半くらいのモダン・ジャズは、一番心にも体にもガツンとくるのです。
今でも血湧き肉躍る感じ?!(*^^*)
その時代に実際に売られていた本を読むと、その頃の空気が感じられる・・・そんなことを感じた本でした。
・・でも、けっこう誤字が多いし、ミュージシャンやアルバム名、曲名も、皆が皆統一されていなくて、その頃は“自分の読み方で読んでいた”こともわかりましたよ。
いい本でした。そして「流浪堂」もおすすめの古書店です。※詳しくは上記のリンクをクリックしてみて!
【NowPlaying】 Make Someone Happy / Jimmy Heath ( Jazz )
« 「華やかなりし日々/クライマックス」をついに観劇 | トップページ | 大空さんの宙組、見納め・・・ »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「Jazz」カテゴリの記事
- 中学時代の先生が開いた「レコード・コンサート」に行って来た。(2022.11.22)
- 寺島靖国さんの「My Room My Audio -十人十色オーディオ部屋探訪-」を読みました。(2022.08.01)
- 「東京ジャズメモリー/シュート・アロー著」を読みました。(2022.02.22)
- CDジャーナルのムック本「台湾人ジャーナリストが見たニッポンのジャズ喫茶」を読みました。(2022.01.06)
- 今年もJR飯岡駅併設の「海上ふれあい館」でのレコード鑑賞会に出掛けました。(2021.11.22)
コメント