【簡単・3分宝塚講座 Vol.10】
いよいよ二桁に突入した「簡単・3分宝塚講座」ですが、今回はミュージカル、しかも本場ブロードウエイなどでの人気作品を取り上げているものについて少しご紹介しようと思います。
通常、宝塚では座付きの脚本家がオリジナル作品を、ミュージカルについてもショーについても書き下ろして上演します。しかも最近では原則がくずれてはいますが、基本的に再演はない、というのが一般的です。
しかし、そんな中で、宝塚ではまだ他の日本の劇団が取り上げていない海外のミュージカル作品についてもかなり積極的に取り入れてきました。
「ディーン」「南太平洋」「ガイズ&ドールズ」「回転木馬」「オクラホマ」「Me & My Girl」「ファントム」「エリザベート」「ザ・スカーレット・ピンパーネル」「フランス版・ロミオとジュリエット」などなど、数え上げるとたいへんな演目数になります。
特に、「Me & My Girl」は私も月組が初めて演じたときのことを昨日のように覚えています。
楽曲も素晴らしいし、舞台セットも衣装もダンスも、そして演じた宝塚のメンバーが最高の演技を見せ、本場も驚きの仕上がりとなり、宝塚→東京→宝塚→東京と、二往復する絶賛作品となりました。
初代の剣幸(つるぎ。みゆき)さんから、天海祐希(あまみ・ゆうき)さん、瀬奈じゅん(せな・じゅん)さんと、それぞれが誰にも愛される主人公「ビル」を演じ、観客もいっしょになって第一幕終了直前の「ランベスウォーク」を客席で歌い、そして手拍子したものでした。
幕が降り、“追い出し”のオーケストラ演奏が終わっても拍手が鳴り止まず、オーケストラが楽器を振ってオーケストラピットから身を乗り出して応えるなんていう場面を宝塚で初めて経験しました。
「エリザベート」は、黄泉の国の「トート閣下」が主人公となる宝塚独特のバージョンを生み出し、今では宝塚でも帝劇でも、宝塚の演出家が総指揮を取るような宝塚になくてはならない特別なミュージカルとなりました。
何度見ても名シーン、名曲の数々が心を打ちます。初代、一路真輝(いちろ・まき)さんの姿はあまりにも尊い・・・。
これが舞台に掛かったら、ぜひ皆さん一度は観に行っていただきたい!
「ファントム」も、オペラ座の怪人の宝塚編ミュージカルですが、「花總まり(はなふさ・まり)」さんがボトボトと落涙しての名演技を繰り広げるなど歌唱力も演技力も、表現力も全てを兼ね備えなければ演じきれない素晴らしい作品を宝塚は“モノ”にしてきました。
最近では、蘭寿とむ(らんじゅ・とむ)さんが、銀橋で落涙し歌っていた姿を思い出します。
実の父との抱擁シーンでは私も嗚咽してしまうほどの迫真の演技でした。
今回、写真を載せている「ザ・スカーレット・ピンパーネル」は、すでに星組と月組が演じていますが、このミュージカルの作曲担当のフランク・ワイルドホーン氏は、わざわざ宝塚用に曲を書き足しています。
それほど宝塚への思いが強いのです。
その曲が「ひとかけらの勇気」。何度聞いても涙があふれる素晴らしい曲です。
組によって主人公の男女二人の表現の仕方も変わり、星組の安蘭さん、遠野さんは、正義のために耐えて忍んで突き進み艱難辛苦を乗り越えるパーシーと、夫の結婚後の豹変に疑惑を持ち、地獄の苦しみを味わうマルグリットとなっていました。
月組の霧矢さん、蒼乃さんでは、悩み苦しみながらも愛を信じつつ正義に突き進むパーシーと、夫の豹変に気を強く持ち、自分の信じるところを突き進み愛を勝ち取るマルグリットとなっていて、組による違いを楽しむのも、宝塚の良いところだと思います。
そして、この夏、月組が舞台に掛けている「フランス版・ロミオとジュリエット」は、誰もが知っているストーリーを素晴らしい楽曲で観客を魅了するものとなっています。
通常の宝塚の演し物を楽しみつつ、時にはこういった海外ミュージカルものを楽しむ、そんな宝塚との接し方は、とても優雅なものです。
ぜひ、宝塚が取り組む海外ミュージカルもご堪能いただきたいというのが、今回の趣旨です。
長くなりました。3分で見られるかな?(*^^*)
それでは、またぁ~( ´ ▽ ` )ノ♪
【NowPlaying】 アフター・ザ・ゴールドラッシュ / パティ・スミス ( Rock )
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