銀河英雄伝説@TAKARAZUKA
東京宝塚劇場で公演されている宝塚歌劇団・宙組東京公演をすでに見ていましたのでその観劇記を。
今回の公演は、田中芳樹氏のベストセラーSF小説「銀河英雄伝説」を宝塚の舞台にのせ、ミュージカル化したものです。
そして、宙組は男役トップスター、娘役トップスター二人とも入れ替わり、トップお披露目公演ともなっています。
さらに、花組から朝夏まなと(あさか・まなと)さん、雪組から緒月遠麻(おづき・とおま)さんが組替えとなり、宙組の主要な役どころを務めることとなっての最初の公演ともなります。
しかも、このSF小説のミュージカル化したもの“一本物”となっていて、レギュラー公演とは異なり、ショーがありません。
と、いろいろなことが絡み合って、期待もあり、不安もあり・・という感じでした。私には。
トップお披露目公演ともあって、観客の入れ込み具合は、やはり普段とは異なっていると感じました。
ロビーから上がっていく階段上でも、記念写真を撮る人がたくさん。久しぶりの観劇の人も多いようです。
トップコンビの二人は期待通りの美しさとうまさでした。
何の破綻も無かったし、非常に見栄えのする二人「凰稀かなめ(おうき・なかめ)、実咲凛音(みさき・りおん)」は、早くもトップらしさが舞台上に出ていて、歌も芝居も合格点。
ただ、私自身がこういうタイプのSF小説が苦手で、しかもストーリーに、特に男女の機微や人生の機微が如実に現れるでもないもので・・私個人としては演目自体に興味がほとんど無し・・ということで、最後までテンションが持つのか心配でした。
いきなりのレーザービームのようなライティングに驚き、長く、こんがらがった組織や人間関係をスクリーンに表示する手法は宝塚らしく、今までも様々な演目でやってきたように、手際よく進行していきました。
ヤン・ウェンリー(自由惑星同名の軍人)を演じた緒月さんは、雪組のときの印象とはかなり異なり、軍人なのに、甘く優しい男を演出していました。
それがねぇ、なんだかいいのです。今回、この緒月さんに“キュン”となった女子は多いのではないでしょうか。
さらに、主演凰稀さんの片腕となって側近を演じた、朝夏まなとさんも、新境地を切り開いた感があります。
主人公とは幼馴染みで、ちょっと優しい男性を演じたのですが、闘いや仕事上の厳しさなども巧みに演じてかなり目立っていました。高得点!
主人公側の参謀を演じた悠未ひろ(ゆうみ・ひろ)さんは、いつもどおりの濃ぉ~い男役でしたが、さらに男の深みを増した印象。
ちょっと残念なのは、凪七瑠海(なぎな・るうみ)さんが、いまひとつパッと目立たなかったこと。
蓮水ゆうや(はすみ・ゆうや)さんや、七海ひろき(ななみ・ひろき)さんたちの方が目立ってしまうような印象まで受けました。凪七さん、これから盛り返してほしい。
純矢ちとせ(じゅんや・ちとせ)さんも、彼女らしい、いい役を得て光っていました。
そして、愛花ちさき(あいはな・ちさき)さんは、凰稀さんの姉の役で、こちらも大きな役を見事にこなして、さすがでした。この人は与えられた役を自分らしく自然に演じていて、いつも感心します。
もったいないのは、すみれ乃麗(すみれの・れい)さんと、伶美うらら(れいみ・うらら)さん。
麗しい娘役の二人が、ひとりは軍人ヤンの副官であり、もう一人はヤンの保護を受ける少年の役です。
ちょっともの足りない感じがしました。
原作があって、なかなか新しい役を作りづらいということもあると思うのですが・・・。
全体としては、トップ二人が見事な舞台さばきを見せてはいたものの、SF小説のミュージカル化一本物ということで、ショーもたっぷり見たかったという感じです。
何度かこのブログでも書きましたが、トップお披露目公演は、そのトップにもっとも似合う作品を書き下ろしたらどうかと思います。
そして、ミュージカルとショーのカップリングというレギュラーパターンで、トップ二人の新しい雰囲気をファンにたっぷりと味わってもらうくらいの気持ちで公演をお願いしたいということなのです。
ぜひ、お願いしたい。
雪組の壮一帆さんの大劇場・トップお披露目は、ぜひレギュラーパターンでお願いしたいものです。
【NowPlaying】 On A Slow Boat To China / Phil Woods Quartet ( Jazz )
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あの「銀英伝」を宝塚がどう料理するのだろうか?
――という興味だけで、20年ぶりぐらいに宝塚を観劇してきました。
日生劇場とかシアタークリエとかご近所さん(ちょっと離れますけど帝国劇場とかも)にはちょいちょい顔を出してますが、東京宝塚劇場へ来るのも20年ぶりぐらい。ここ、改装されたんですかね、記憶にあるよりも綺麗でした。
今回は宙組の公演、しかも新トップのお披露目公演なんだそうで、その 凰稀かなめ がラインハルト・フォン・ローエングラム、実咲凜音 がヒルデガルド・フォン・マリーンドルフを演... [続きを読む]
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