話題の「僕はビートルズ」を読んだ
『僕はビートルズ/かわぐちかいじ・原作:藤井哲夫(モーニングKC)』全10巻(漫画です)を読みました。
これは私のブログをfacebookを通じて読んでいただいている“S美堂”社長“M月”さんからわざわざお届けいただいてお借りしたものです。
“おすすめ”ということで、じっくりと、そしてあっという間に読んでしまいました。
噂には聞いていて、「ビートルズがデビューする前の時代に現代の若者(ビートルズのコピーバンドをやっている)がタイムスリップし、そこでビートルズの曲を使って日本でバンドデビューするという・・ビートルズファンにとっては“恐ろしい”ストーリーとなっています。
タイムスリップしたのは1961年(昭和36年)の吉祥寺で、その頃の東京の様子も描かれ、否応無しにその状況に読者は突き落とされたように入り込むことになります。
そしてFAB4と名付けられたコピーバンドは、オリジナル曲としてビートルズの「抱きしめたい」と「イエスタデイ」のカップリングでデビューし、やがて大ヒット。さらにはアルバムも出し、「シェイ・スタジアム」ならぬ「後楽園球場」で世界初のスタジアムコンサートを行います。
やがて、あの5人目のビートルズと言われたビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインと・・ビートルズの4人にも会うことになるのですが・・・。
衣装もビートルズの当時の衣装、楽器もわざわざリッケンバッカーやグレッチ、ヘフナー、ラディック、Voxのアンプまでその頃の日本で無理矢理揃えて完コピ状態で人気者となるのですが、本人達の「盗作」をしているという罪悪感が一応描かれているものの、けっこうやり過ごされているような印象を持ちました。
それって世界に対する「大罪」ですからねぇ・・。
ジョンもポールも、ジョージもリンゴもただの人にしてしまう可能性が高く、先に書いたデビューの二曲以外にも「ヘルプ」や「ノルウエーの森」などジョンにとっての最重要曲までアルバムに入れてしまい、ジョンを殺すにも等しい行為が行われます。・・漫画の中でもジョンが苦悩する後ろ姿(こんなどこにもない、いい曲を書かれてはどうしようもないと・・)も描かれていました。
ストーリーの中では、それをも乗り越え、ビートルズとエプスタインはFAB4の前に立ちはだかるのですが、「ビートルズがこの事態を乗り越え、どんな新曲を出すか見ものだ」的な考え方でバンドの方向性が示されるに至って、あんまりだと思ったのも事実です。
「ハードデイズ・・」や「アンド・アイ・ラブ・ハー」をリリースしてしまえば、映画「ハードデイズ・ナイト」は無くなってしまいます。ということは、ジョージとパティ・ボイドは知り合うことなく、ジョージの運命も変わり、パティへの想いを歌った「サムシング」も無くなり、さらにその後エリック・クラプトンがパティを好きになり書いた「レイラ」もこの世から無くなります・・。
ポールから「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」を奪い、ビートルズ初期のアメリカ征服のきっかけとなった「抱きしめたい」も奪い、最強力曲「シー・ラブズ・ユー」も奪い去ります。
リンゴから「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」という誰からもリンゴが愛される証しのような曲も奪って・・・。
というわけで、骨の髄まで“ビートルズ・ファン”の私にとっては、ストーリーは目を離せないジェットコースターに乗っているようなスリリングな展開で、アイデアも素晴らしく、時代考証もしっかりとしていて、同時代の世界状況もうまく描かれている漫画だったのですが・・けっこうドキドキしてある意味“辛い”ものでした。
そして、ビートルズの存在が自分にとってだけでなく、世界にとってどんなに大切なものなのかが良くわかりました。さらにジョン、ポール、ジョージ、リンゴそれぞれのキャラクター、生き方がどんなに愛おしいものなのかも・・よくわかりました。
すごいインパクトの漫画でした。久しぶりに漫画を読みましたが、大きな感銘を受けました。
【NowPlaying】 Mother Nature's Son / The Beatles ( Rock )
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