超・居酒屋入門は“超”すごい本でした。
『超・居酒屋入門/太田和彦著(新潮文庫)』を読みました。ブックオフで105円にて購入したものですが、著者のおそろしいくらいの居酒屋に対する深い愛着と、造詣に驚きました。
それに、著者の「人生には居酒屋が必要なんだ」ということが、訥々と語られていて、居酒屋の話でこんなにしみじみするとは思ってもいませんでした。
著者はもともとはグラフィックデザイナーですが、その本業のかたわら、日本各地の古い居酒屋を訪ねて素晴らしい「酒」と「肴」に出会い、こうして内容充実の本が出来上がったわけです。
この本では上記のように各地で出会った居酒屋の様子が描かれていて、その描写の上手さにも舌を巻くのですが、私の心に残ったのは、「自分の居酒屋を持って、職場と家庭の間に居酒屋での自分の時間を持つのが良い」という考え方でした。
店主とあまり親しくなってもいけなくて、“自分の居場所”としての居酒屋を出来れば自分の住んでいる町にひとつ持っていると良いというのです。
特に仕事をリタイアした人などは、年中家に居て奥さんにうっとうしがられて、挙げ句に奥さんが出かけると付いて行こうとする・・だからもうひとつ自分の身の置き場を居酒屋にしてみてはどうか、というのです。
もちろん、「一人で行く」のが著者の言っている“自分の居場所”となる居酒屋への行き方です。
「大丈夫かな、一人で行って。そこでどうしていたらいいんだろう。」と、私も思ってしまうのですが、この本の中では、居酒屋での“身の置き方”についても書かれているのでご心配なく(^^;)。
そして、この本の素晴らしいところは、お値段高めの高級店などについては、あまり“おすすめ”していないことです。
なので、著者を真似して「ひとり居酒屋」やってみようか、と思い始めたところです。やってみると難しいかもしれないけど。
本の最初の方に書かれていますが、元々「“居”酒屋」というのは、酒屋が量り売りをしていた頃に、家に持ち帰るだけでなく、その場で一杯やっていく、という場所のことであったようです。だから“居る”酒屋なんですね。
というわけで、出来ればビルの2階にある店などではなく、『暖簾』が掛かっていて、通りから中の様子がわかり、しかも暖簾一枚によって外界と隔てられている感覚を持てるところ、そんなところが居酒屋の成り立ちからいっても、良いようですね(#^.^#)
著者は、まだまだ何冊かの“居酒屋本”を出しているようなので、また探して読んでみます。読んでいるだけで、また「ひとり居酒屋・幸せ気分」を味わえそうです。
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