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2013/09/17

「超然」がテーマの本

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『妻の超然/絲山秋子(いとやま・あきこ)著(新潮文庫)』を読みました。
この本は、三編から成っていて、「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」という“超然三本立て”です(^^;)

「妻の超然」では、夫が浮気をしているのがわかっているが、それをそのまま見過ごしつつ、恨みつつ、諦めつつ、日々を過ごし、仲の良い友人や、先生と呼ぶ女性としての人生の先輩らに鬱憤をまき散らし、そして面倒を見てもらったり、面倒を見たりという「妻」のお話です。

超然としているかのようには見えますが、でも“うじうじ”しているし、“じくじく”と心の中が膿んでいく・・考えてみれば普通の人は皆こうなのかもしれません。
私も“うじうじ”し、“じとじと”と湿っぽく物事を考えつつ、日々を何となく、そして何とかかんとか生きているわけで、人ってのは、積極的にばかりでなく、“あきらめ”がその時を過ごしている中で多くを占めているのかもしれません。

「下戸の超然」は、下戸の彼が主人公のようにも見えるのですが、実はその彼女の目を通して下戸の彼の超然を表現しているというお話でした。
下戸の彼は、“いい人”そうで、割と真面目で、これといった野心もなく、平凡に、そして現在身の回りにある環境にある程度満足している・・おとなしい彼なのですが・・・。

彼の彼女・・つまり下戸の超然を見ている彼女は、彼と同じ会社に勤務していて、そこでは大人しく目立たない地味な女性。
学生時代からパズルを解いたりするのが好き(実は彼がパズル雑誌に投稿していたクイズを彼女が趣味で解いていたということがあとでわかる)な派手さのまったくない女性なのでした・・でしたが・・・。

実はNPOに所属し、カナダからの留学生を迎えたりする活動を熱心にしていて、海外にも飛び出したいと考えている秘めたる部分も持ち合わせ、やがてその点で平凡一直線の彼と合わなくなってしまうのです。

そのときの互いのやり取りの中に「下戸である彼の“超然”」とした態度が見え隠れして、ますます彼女の苛立ちを増すのでした。
これもひょっとして普通の人の会社生活、家庭での生活では“起こりがち”なことであるのかもしれません。
人と人、男と女っていうのは、歯車が噛み合って順調に走って行くなどということは滅多にないのかもしれません。

最後の「作家の超然」は、町に一人くらい、親戚に一人くらいいるような、自らの信念というか、考え方に“やさしく”・・つまり良い言い方をすれば揺るぎない考え方を持つ人のお話。
その作家自身が語ると、あまりにも独善的な印象になってしまうためか、その作家を傍から見守るような書き方になっていました。

それにしても、世間的には迷惑をけっこう掛けつつ生きていく、その主人公の様子は、これも先に書いたように、必ず“ある単位に一人”くらいはいる人で、うらやましくもあり、迷惑でもあり、これが人の世というものか、と納得してしまうストーリーになっていました。

三つのお話は、どれもちょっと私を“ドキッ”とさせました。それは、私の中にもそれらの“超然”が内包されているからかもしれません。

淡々とした物語であるかと思うと、心にチクッと刺さるものがある、そんな作品でした。


【Now Playing】 Eres Mi Amor / 安蘭けい ( 劇中歌 )

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