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2013/09/08

「生存確率・バイタルサインあり」を少しずつ読んだ

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『生存確率・バイタルサインり/久間十義著(新潮文庫)』をちょっとずつ読み進んで600頁を超える長編でしたが読み終えました。
この本は医療小説ですが、普段あまり読まないジャンルの本に手をつけた理由は、主人公の女医が米国に渡り、最先端の「カテーテル術」を身につけて帰国し、その治療している様子が実況中継のように書かれている部分を立ち読みで発見したからです。

実は7年ほど前に、私も「カテーテル術」による心臓手術を受けました。

この物語には、当時日本ではまだまだ一般的になっていなかったカテーテルによる「ロータブレータ治療」を引っさげて帰国した女性医師が、その技術により名を馳せ、一躍医療界の時の人となり、様々な道が開けてくるのですが、そこには、医療界のどろどろとした人間関係や出世競争があり、さらに米国にいたときに知り合った男性との数奇な運命に翻弄される、医師として生き、女性として生き、一人の子を持つ女性として生きる人の人生がそのまま描かれています。

若い頃に医療事故の責任を無理矢理着せられた上に、相談に乗った男性の子を身籠もったかと思うとその男性は、出世のために恩師の娘と結婚してしまう・・その事実も男性に告げずに米国で出産し、医療の道に突き進むわけですが、もう読んでいて“やきもき”するやら、中学生になった子供の身に起こる事故に、また読んでいるこちらも辛い思いをし、若いIT企業社長との恋もあまりにも空に浮かぶ風船のように無軌道な運命が待ち受けていて・・たいへんな物語でした。
ラストには、人生の不思議さを感じつつ、しみじみとしてしまうのですが・・・。

で、話は最初に書いた「カテーテル術」に戻ります。
その施術の様子が書かれている部分を読んでいくと、私が受けた「カテーテル・アブレーション」の施術時の様子が私の当時の手術室で見たままに書かれていて、ドキドキして当時の記憶がよみがえったのです。

両足の付け根から動静脈に穿刺してシース(カテーテル用のさや)を入れるところや(私のときは目隠しで胸から下は見えなかったのですが、血が吹き上げたのが見えました)、チーフのほか、医師、助手、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、放射線技師など多くのスタッフで行われる施術の様子は“他人事”ではなく、あの日を思い出しました。

私の施術は、心臓を動かす命令が流れるケーブルにあたる心臓の部分を低温で焼いていくというものでしたが、人工的に心臓発作を起こして悪い部分を見つけ出しながらのもので、七回に渡る人工的な発作の苦しさと、最後には「耐えられますか」と聞かれても返事が出来ないくらいになっていて、結局一度気絶してしまうという事態になり・・実はそのとき、自分の体が手術室のちょっと高いところにあって、私の周りを囲んで事にあたっている先生達が見えました、「○○を○ミリ投入!」などという指示も聞こえました。幽体離脱だったのでしょうか、あぶなかった・・気絶する寸前では、もうどうにもならないくらい苦しくて「ひょっとして、もう目を覚ますことはないのかも」と思ったりもしたのでした。

結局私は無事意識も戻り・・「よおし、帰ってきた」という先生の声がたしかに聞こえた・・、予定の2時間をはるかに超えて4時間の施術を終え、もう一度人生を続けることができるようになったわけです。

そのときの感謝の気持ちを思い出したくて、実はこの本を読みたくなったのかもしれません。

手術室から出てきた瞬間に、妻が駆け寄り、泣きそうな顔をして声をかけてくれましたが、その顔を見た瞬間、また意識が遠のき、数時間後にやっとベッドの上から妻と顔を合わせることになったのでした。
妻は、手術室から出てきた私が“血まみれ”だったのと、予想外の手術時間に心配が心配を呼んでいて大変な心模様だったようです。
我が家にとってもたいへんな一日でした。

きょうは、一冊の本から自分の命をつないだ一日を思い出して書いてみました。


【Now Playing】 渡部陽一勇気のラジオ / 花田景子他 ( ニッポン放送 )

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コメント

みいさん、コメントありがとうございます。
この医療小説は、読み進むうちにどんどん引き込まれ、医療技術的な側面や、医師と言えども人の子、様々な心の葛藤や、人間関係なども見えてきて、興味の尽きないものでした。

そして、私も今回書いた心臓の手術の他、もうひとつ手術を経験していて、本当は読んでいると辛いのですが、ついつい最後までドキドキしながら読み切ってしまいました。

実はあとでまたアップできるかと思いますが、今週は人生の中でも一大事がありまして、ブログのアップは控えております。
また、このことについてはアップしようかと思っていますので、そのときにまた・・(゚ー゚*)。oO

おはようございます!
 この記事拝見してドキドキしてしまいました。
医療小説は、興味はありますがちょっと怖いですね。
はっPサン、大変な体験をされたんですね~
ご家族のお気持ちもどんなにか・・・
わたしも義母の手術で辛い思いをしたことあります。

命について改めて考えてしまいました。

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