雪組全国ツアー観劇記・市川市
簡単・3分宝塚講座はいったんお休みして、その講座で次回ご紹介予定の雪組全国ツアーが千葉県の市川市にやってきましたので、その様子をご紹介いたします。
会場は、エクストラ席も出るほどの満員でした。今回のミュージカルは“和物”でして、一般には集客が難しいと思われる演目なのですが、壮一帆(そう・かずほ)、愛加あゆ(まなか・あゆ)の新トップコンビの人気は上々のようです。
では、ミュージカル、ショーの順にご紹介しましょう。
ミュージカル・ロマンスと銘打たれた『若き日の唄は忘れじ』は、藤沢周平の時代小説「蝉しぐれ」を原作としたミュージカルで、初演は1994年の星組、紫苑ゆう(しおん・ゆう)、白城あやか(しらき・あやか)主演によるものだったそうです。残念ながら初演は見ていないのですが、今回の舞台を見ていて、当時のゆったりとした物語の進行と、“ため”を効かせた演技は懐かしい雰囲気を感じました。
そんなこの演目に壮・愛加トップコンビは十分な実力でしっかりと取り組んでいることがうかがわれました。
二人の宝塚大劇場での本公演トップお披露目の前に中日劇場で行われたものの再現で、劇団としてもこの演目が二人の全国お披露目に持ってこいだと感じたのではないでしょうか。
藩の権力争いに巻き込まれ、波乱に満ちた(不遇といってもよい)生涯を生き、幼い頃からの淡い恋(壮さんの相手はもちろん愛加さん)も運命に引き裂かれ、互いに“花も嵐も踏み越え”た、人の親になってから、その境地で出会う・・そんな平常心ではいられない境遇を、お二人はじっくりと見せてくれました。
愛加さん演じる「ふく」は、江戸の藩邸に奉公に上がり、藩主のお手つきとなり子を身籠もる・・。江戸に行く前にひと目会いたいと壮さん演じる牧家に行くのですが、剣の稽古で不在、母親に挨拶し着物を餞別にもらうのですが、本当は壮さんと一緒になりたい、と言い出したくて、とうとう言い出せなかったシーンが胸に迫り、名シーンだと思いました。
愛加さんの渾身の演技は、もう堂々としたトップスターのものです。
壮さん演じる「牧文四郎」は、謀略により、親の持つ「お家」をとりつぶし同然にされ、そんな中、懸命の努力で一角の人物になった後も、また策略にはめられそうになる・・そんな過酷な運命を、壮さんの今までの宝塚人生を彷彿とさせるような逞しく、凜々しく、美しく、力強い様子で突き進んで行く・・その運命を恨みもせず・・という難役を壮さんの実力で見事に演じ切っていたと思います。
主人公の16歳から人生の後半までをも演じたわけで、たいしたものだと思いました。
ラストの壮さん愛加さん二人が浜辺で、波の音と蝉しぐれを聞きながら、ゆっくりと人生を振り返り、台詞だけでなく仕草でその心情を表現するあたりでは、「素晴らしい!」と観客席で感動の渦の中におりました。
そして、ロマンチック・レビューと銘打たれた『ナルシス・ノアールⅡ』は、これも1991年に星組初演のオリジナル・ショーで、当時のトップスターは、日向薫(ひゅうが・かおる)さん、毬藻えり(まりも・えり)さん、二番手男役に紫苑ゆうさんという万全の体制の頃です。
今見ると、やはり時代を感じさせるテーマソング等、挿入歌のちょっとのんびりした感じ、わかりやすいメロディーをゆっくりと回していく感じも懐かしいものでした。
でも、雪組にはこういうしっかりとしたオリジナル作品は合っているのではないかと思いました。
雪組の丁寧で美しい舞台運びは、この秀作を現代にふさわしい形で再現していたように思います。
トップ二人はもちろんですが、未涼亜希(みすず・あき)さん、夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さんが全国ツアーの少数部隊を補って余り有る活躍を見せ、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんが、その美しい容姿も含め力強くキラキラとした存在感を発揮していました。
また千葉市出身の夢華あみさんは、冒頭の“歌う妖精”ほか、夢乃聖夏さんとのダンス、壮さんとも絡んだりする部分もあって、ショーの方では活躍していました。
もちろん、最後のご当地出身者の紹介では、「千葉市出身・夢華あみ!!」と紹介され、ちょっと恥ずかしそうでしたが、元気に手を振っていました。
これからも活躍を期待していますよ(゚ー゚*)。oO
以上、31日(土)、1日(日)と二日間に渡り市川市文化会館で行われた雪組全国ツアーの私が見た市川・初日のご紹介をいたしました。
雪組については、また「簡単・3分宝塚講座」でご紹介いたしますね。
それでは、またd(^_^o)
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