「家日和」を読んだ
『家日和/奥田英朗著(集英社文庫)』を読みました。
前回からずいぶんと時間が経ってしまったような気がしますが、脚・腰の痛みが続いていて、家に居る時間にもなかなか本に連続して向かえない状況なもので。
前回に続き、奥田さんの小説はとても読みやすいと感じたのですが、読んでいるうちに、実はこれはかなり勇気のいるものを書いていらしたことに、さすがの鈍感な私も気づき始めました。
特に収められている六遍の最後の作品「妻と玄米御飯」では、“ロハス”一色のよその夫婦を揶揄し、自分の妻の“ロハスかぶれ”のことまで書いてしまい、実際に本になってしまったらどうしよう・・と困りはじめる作家の話が書かれていて、「これは実話に限りなく近い」のだろうと思ったのでした。
妻と別居し、自分の独身の頃にやっていたように、部屋には本があふれ、アナログレコードを高級再生装置で聴いてみたり、インテリアを妻のインテリア雑誌から抜け出たような趣味から、一気に自分好みのものに変えていく男の話もなんだか“ワクワク”して読んだのですが、読みやすいこのストーリーの中には、家庭を持ち、それなりに何とか家族と暮らしている普通の人にも、日頃から心の中にある・・うまく言えない何かが存在していて、でもそれが自分でもよくわからずにいる。
そんな気持ちが、なぜかこのわかりやすく読みやすいストーリーの中にそっと描かれているのですね。
いやはや、意外に奥が深いのでは・・と思い始めたところで読み終えました。
読み終える寸前に居眠りしてしまい、この小説に描かれていた家族の一員になって、子どもの相談に乗っている父親役の自分の夢を見てしまいました。
今、不思議な気分になったまま読後感を綴っています。
前回の「ガール」と、この「家日和」をお貸しいただいたAiさん、ありがとうございました。
またこの人の作品を読んでみたいと思います。
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