今年もしみじみ暮れてゆく・・2013年・宝塚歌劇を振り返ってみよう【その4】
段々と進んでまいりました(*^^*)いよいよ「8月」に突入。
[宙組・うたかたの恋/ Amour de 99 !! ]
まずは、宙組全国ツアーでの「うたかたの恋」。
紫苑ゆう(しおん・ゆう)さんが星組トップだった頃の古い演目、通常こういうものを舞台に掛けると時代的な違和感がどうにも邪魔をして“入り込めない”ことになり、困ることがあるのですが、凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんの場合、その王子様的なたたずまいがそうさせるのか、しっくりときて、見ているこちらは物語に集中できます。
また、相手役の実咲凜音(みさき・りおん)さんは、その役自体を作り込み、自分自身をそこに投入していくタイプとお見受けしまして、前回は成人する息子のために闘う母親を演じていたのに、この公演では、あふれるような初初しさと、秘めたる愛情は激しいものがある若々しい女性を演じて素晴らしいのでした。
見ていて、時代のズレを感じて“ずっこける”ようなこともなく、純愛にひたれた作品でした。
ショー「 Amour de 99 !! 」は、東京でも舞台に掛けたものを少数部隊用にデチューンしてツアーに持ってきました。
東京での華やかな往年の先生達の紹介シーンなどはありませんでしたが、逆にテンポアップしたステージは、宙組に持って来いの“熱い”ショーになり、観客は全国ツアーならではの、「ヒューッ」という掛け声までして、大応援!
緒月遠麻(おづき・とおま)さんが熱狂のラテンシーンを演じるなど、組全体が盛り上げていたナイス・ショーでした。
[雪組・若き日の唄は忘れじ/ナルシス・ノアールⅡ]
以前から、雪組の“しっとり感”は“和もの”に合う、と思っていたのですが、ベルばらから一気に日本物のお芝居「若き日の唄は忘れじ(原作:藤沢周平の蝉しぐれ)」に。
真摯に真っ直ぐに生きる壮一帆(そう・かずほ)さんを襲う権力争いと波乱の生涯、健気な愛加あゆ(まなか・あゆ)さんにも運命のいたずらがあり、二人は心の奥底では愛し合っているのに、二人が心を許し、言葉を交わすのはラストのわずかな海辺のシーンのみ・・でした。
でも、中日劇場のお披露目公演でも演じたこの役をお二人ともさらに深められていたようでした。これも目立たないが、好演でした。
ショー「ナルシス・ノアールⅡ」は、これも星組の古い演目でしたが、雪組には、こういうしっかりと作り込まれた秀作はぴたりとはまるように感じました。
余裕を持って細部に渡り気をつかって美しい所作などを見せつつショー全体を組み上げるのは雪組の持ち味かもしれません。
これも目立たなかったが、ゆっくりと楽しめるショーでした。
そして「9月」。
[月組・ルパン-ARSENE LUPIN-/ Fantastic Energy ! ]
「ルパン」は、ちょっと宝塚には珍しい不思議な設定の演目(ルパン自身が著者に説明しながら物語が進行する)でした。
龍真咲(りゅう・まさき)さんは、その姿がどの組のトップスターにもない、独特の“しゅっ”としてスキのない美しいもので、同じくキリッとしたたたずまいのトップ娘役・愛希れいか(まなき・れいか)さんと二人して舞台に並ぶと、まさに麗しいトップコンビになっていました。
まだ、作品を二人して“作り込んでいく”というような感じではありませんが、徐々にお二人らしさが出てくるのではないでしょうか。
ショー「 Fantastic Energy ! 」は、実に月組らしい綺麗でスピーディーで若々しいものでした。これも月組のひとつの特徴でしょう。他の組にはない、まさにファンタスティックな印象でした。
この公演で、琴音和葉(ことね・かずは)さんの歌唱力と存在感も光りました。また、若手期待の大型新人、暁千星(あかつき・ちせい)さんのロケット時のソロのダンスも光りました。注目してしまいました。
「10月」に入ると・・。
[星組・ REON !!Ⅱ ]
これは星組トップスター、柚希礼音(ゆずき・れおん)さんのコンサートという形式で東京国際フォーラムで行われたものです。相手娘役の夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さんは別公演で共演していません。
「 REON !! Ⅱ」とうたっているからには、「Ⅰ」があったわけですが、そのときには「こんなに型破りにお楽しみ会的に楽しませてもらって、それはそれでいいけど、宝塚でこれはいいんかい?!」と思ってしまったのも事実でした。
でも、長年人気を維持し、さらに人気が上昇中であり、観客はいつも満員!、チケットは完売状態の柚希さんには「これでいいんだ」と思い直しました。
楽しくて、うれしくて、会場中が笑顔と歓声で盛り上がる・・柚希さんの素晴らしいコンサートでした。
[星組・日のあたる方へ-私という名の他者-]
「日のあたる方へ-私という名の他者-」は、星組の“三番手”と言える真風涼帆(まかぜ・すずほ)さん主演の、原作は「ジキルとハイド」という宝塚でも珍しい内容の演目でした。
観劇したときのブログにも書いたかと記憶するのですが、主人公の書き込みがもうひとつ足らないような気がして、真風さんには演じるための材料が不足していたように感じました。
相手役となった妃海風(ひなみ・ふう)さんの、記憶を失ったという設定も、逆に人物像としては描きにくかったのではないかと思いました。
途中から急展開で話がほぐれてくるのですが、結果として殺人を犯した主人公ほかの登場人物の妙な明るさや、ラストおまけのショーでもはしゃぎ過ぎのような感じが今ひとつ馴染めませんでした。
ただ、この難役をこなした真風さんと妃海さんには大きな財産となったのでは、と思いました。
以上で、10月までの感想を書いてまいりました。
次回は11月から、できれば12月のラストまで書きたいと思います。
本日はこのへんで<(_ _)>
【Now Playing】 Status Quo / Cliff Jordan & John Gilmore ( Jazz )
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