『風と共に去りぬ』朝夏・スカーレット版も見た
宝塚歌劇・宙組東京公演「風と共に去りぬ」の二つの役替わりパターンの内、朝夏まなと(あさか・まなと)さんのスカーレット版を見ましたので、そのご報告を。
朝夏さんがスカーレットを演じると共に、その他も役替わりがあります。
アシュレは、悠未ひろ(ゆうみ・ひろ)さん、ルネは七海ひろき(ななみ・ひろき)さん、スカーレットⅡ(スカーレットの心の中として現われる幻影のようなもの)は、純矢ちとせ(じゅんや・ちとせ)さん、メイベルは、怜美うらら(れいみ・うらら)さんでした。
実際に見てみると前回ご紹介した七海ひろきさんのスカーレット・バージョンとは大きく異なる印象でした。
主演の凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんは、相手が変わってもそれほど演じ方を変更したとは感じられませんでした。自ら演技を磨いている感じです。
また、今回は娘役トップの実咲凜音(みさき・りおん)さんもメラニーを演じ、役替わりはありませんのでそのまま。演じ方もやはり変化はありませんでした。相変わらず美しい心の持ち主で儚い命が燃え尽きるまで純粋な心を持ち続けたメラニーを誰もが感心するくらいに美しく健気に演じました。
で、スカーレットの朝夏さんは、破天荒な役柄ではありつつも、何かちょっと“可愛い”と感じてしまうくらいの愛らしい部分が見え隠れする演じ方でした。元々朝夏さんが持っているものもあるのかもしれませんが、そのちょっとお転婆ではあるが、憎めない感じは七海・スカーレットとはひと味変えた感じがしました。
逆に七海さんは、やや“荒い”感触を残し、「どうなってしまうのだろう」という“ハラハラ感”が大きく前面に出ていたように思いました。
どちらがいいというわけではなく、これが役替わりの楽しみなのだと私は思いました。
アシュレの悠未ひろさんについても、朝夏・アシュレの“お坊ちゃま的”な“若気の至り”みたいな印象よりも、人間的に不器用な印象で演じていたと思います。
男として、大人な部分と、未熟な部分が同居している人物像という感じでした。
これが、悠未さんのアシュレなんでしょうね。お二人を比べると、やはりかなり違う演じ方だと思いました。
スカーレットⅡの純矢ちとせさんについては、やはり怜美うららさんのそれとは明からに異なりました。
純矢さんは、スカーレットと表裏一体、鏡のように演じ、非常に人間味があるというか、人の心の奥底って結局こうなんだ・・という感じで、役者としての実力が如実に出ていると思いました。なかなかここまでスカーレットの本物の方と対等な感じで渡り合い、しかもお客さんが今どう感じているかまで、たぶん肌で感じつつ計算しながら演じるなんて出来ないことだと思いますが、見事にそれを実現していると思いました。さすがです。
怜美さんの、“本人・スカーレット”よりもキャラクター的に“可愛い影”のような演じ方も素晴らしかったし、両者なかなかやるなぁ・・と思いました。
こういうのって、観客として見ていて、とてもうれしい感覚です。
ふたつの役替わりパターンを見て、あらためてこの演目は宝塚にとても合う演目であると感じました。
スカーレットを男役に演じさせるというのは宝塚ならではの醍醐味となっていますし、スカーレットⅡの存在がよりスカーレットという女性の魅力を引き立たせ、レッド・バトラーとアシュレという特徴と魅力ある男性を男役である女性が演じているという、これもまた大きな宝塚的魅力となっています。
舞台装置や衣装も豪華で、劇場に行くことが日常から離れた、とても贅沢なことであるということをあらためて認識させられ、それがうれしいという観劇本来のよろこびを感じることができました。
宝塚99周年の最後がこの演目で、感慨もひとしおでした。
さあ、来年は100周年、どんな演目が私たちを楽しませてくれるでしょう!(*^▽^*)
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