映画「愛しのフリーダ」って知ってた?!
限られた映画館でのみ上映された「愛しのフリーダ」。
フリーダというのは、ビートルズの有名なマネージャー「ブライアン・エプスタイン」の秘書であり、ビートルズ公式ファンクラブを仕切っていた当時十代だった女性の名前です。「フリーダ・ケリー」が彼女の名前。
実はビートルズファンを自認する私もフリーダ・ケリーのことを知りませんでした。今回の映画の話題を聞いて初めて知ったのです。恥ずかしながら。
彼女は、最初は普通のOLで、キーパンチャーが仕事であったのですが、下積み時代のビートルズがリバプールで出演していたキャヴァーン・クラブに昼休みも通い詰め、何と190回、ビートルズのキャヴァーンでの演奏を聞いているのです。まさに、ファン中のファンと言ってもよいでしょう。
そのうち、ビートルズのメンバーとも親しくなり、電話で次ぎのライブでの曲目リクエストなども友達から聞いて直接ポールなどにしていたのです。
つまり、かなり親しい仲であったということ。
ビートルズとマネージメント契約した5人目のビートルズとも呼ばれたブライアン・エプスタインが、彼女に目をつけ、秘書にした上に、彼の会社(トニー・シェリダン:歌と、ビートルズ:演奏のレコードを客のリクエストで取り寄せてこのネムズという会社で売ったことが、ビートルズのその後の運命を決めた)に彼女の仕事場を設け、ファンクラブを運営させたのは、今となっては、慧眼だったというか、ビートルズにはこういう奇跡が付き物です。
彼女は、ビートルズのメンバーとも親しく、メンバーの家族とも家族同然の付き合いというか、子供のようにメンバーの家族には可愛がられたのが、この映画でよくわかりました。特にリンゴの両親とは。
写真は、フリーダが現在所有している思い出の写真ですが、ビートルズが解散して、その後、ファンクラブを解散した旨の手紙を全員に出し終えたあと、今となっては、億万長者になれたであろう、貴重な資料、グッズなどを1974年にほとんど全て(小さな段ボール箱4箱を残すのみで)ファンにあげてしまったのだそうです。これも映画の中で語っていました。
もうひとつの写真はフリーダがファンクラブの会員に送った手紙や写真などです。
全て映画館のロビーに実物が展示されていました。
で、なぜ今になってこういう映画が出来たのか。
それは、フリーダが自分の子供達にもひと言もビートルズと仕事をしていたことを話すことなく40年もの間過ごしてきたわけですが、息子さんを亡くし、何も言わずにいたことを後悔し、家族(特にお孫さん向けに)に事実を語っておいた方が良いと思い、家族用の記録録画を始めたことがきっかけとなったのでした。
制作している側は、「これはひょっとすると・・すごいことになるかも」ということになったのでしょう。家族向けビデオのようなものから、こうして世界に向けたビートルズファンへの映画となったのです。
でも、ビートルズファンでなくとも、この映画を見ると、フリーダの人となりがたいへんナチュラルでチャーミングで、素敵な一人の女性であることがわかり、それだけでいい映画になっていることに気づきます。
映画の最後に、ビートルズのリンゴ・スターが登場し、フリーダのお孫さんに向けて、きみたちのおばあちゃんは、ビートルズのために素晴らしい仕事をした、すごい人なんだと、語りかけて思わず見ている人の顔もほころびました。
マジカル・ミステリー・ツアーのフィルムにもフリーダは登場していたのですね。
ものすごい数のファンレターをさばき、ファンの夢のために仕事としてはたいへんなものであったのに、自分の楽しみとして(熱烈なファンとしては最高の仕事ですものね)も仕事を成し遂げたフリーダ。
十代の少女が巨大なビートルズ・ファンクラブを運営していたなんて知りませんでしたが、この映画全体に漂う温かくてお茶目な雰囲気が全てが良かったのだな、と納得させてくれるものでした。
ビートルズ・ファンも必見だし、そうでないちょっとチャーミングなOLさんにも楽しい生き方の見本を提供してくれるような素敵な映画でした。
【Now Playing】 すてきなダンス / The Beatles ( Rock )
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