「へぎ蕎麦」の話
最近テレビのBSで片岡鶴太郎さんが都内だけでなく、様々な地域に脚を伸ばして蕎麦を食べる番組を見ました。
私が見た回は、新潟に出かけてのロケでしたが、番組で取り上げたのが、表題の「へぎ蕎麦」でした。
思い出したのが、2009年、仕事で新潟に行った際に、現地で用意していただいお昼が「へぎ蕎麦」のお店だったのです。
その時はただ「うまい、うまい」と食べ、入れ物と蕎麦の置き方が変わっているね」くらいの感想で、結局、皆でワイワイと店を出たことばかりが記憶に残っているのです。
でも、この番組で知ったのですが、「へぎ蕎麦」っていろいろと謂われがあって、それが守られているものなんですね。
当時の写真をパソコン内から探し出してみました。あったあった、「へぎ蕎麦」の写真。
へぎ蕎麦は、機織りが地場産業だったこの地の名物的な蕎麦なのですが、織物の緯糸(よこいと)をピンと張るために布海苔を使っていたとのことで、その布海苔を蕎麦の“つなぎ”に使って、この地の特色を出そうとした・・あるいはつなぎとして容易に手に入れることができて、たくさんあったものを利用したのかもしれません。
しかも番組内で蕎麦を打つところを見せてくれたのですが、水は一切使わず、布海苔だけで蕎麦を打つのです。だから、海藻の緑が蕎麦の色に反映されているのですね。あのとき、どうして蕎麦の色などに気づかなかったのだろうと反省いたしました。
風味だって、通常の蕎麦とはちがう、布海苔独特のものがあったはずです。
「へぎ」というのは、「剥ぐ=はぐ=へぐ」のなまりで、木を剥いだ板を折敷にしたもののことだそうで、「へぎ」という器に盛られたそばのことを「へぎ蕎麦」とい言うのだそうで、そう言えばその時新潟市の方からそんなことを教わったような記憶もあります。
独特の盛り方、「手ぐり」は布海苔をつなぎに使った滑らかな蕎麦でなければ、美しく盛り付られないそうです。
織りの目に模した並べ方も織り文化の美的感覚・感性から生まれたものだと聞いて唸りました。
布海苔のつなぎ、手ぐりなど他では見かけない「へぎ蕎麦」は長きに渡る織物文化と蕎麦の食文化が融合して生まれた・・・ということで、あのときもっと新潟市の方から深く教わればよかったなぁ、と今更ながらに思ったので、今回のブログに書いてみたのです。
新潟市は食育にも力を入れていて、それについても後年施設見学をさせていただいたのですが、上記のような文化的な背景があったのだな、と納得した次第です。
番組内では、山葵の他に辛子(当時は新潟に山葵の産地が無かったから・・と番組の中で老舗の社長がおっしゃっていました)、ごまなども薬味にしていたと説明されていましたが、たしかに私の撮った当時の写真にも辛子が映っています(^-^)
ああ、蕎麦が食べたくなってきた(^^;)まだまだ日本には色々な蕎麦が存在しているのでしょうね。番組を見ていて、旅行に出かけることがあったら蕎麦屋に寄ってみようと思ったのでした。
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