「 Shall we ダンス?/ CONGRATULATIONS 宝塚!!」観劇記
表題の宝塚歌劇団・雪組・東京公演、既に見ていたのですが、なかなか書けなかった感想を。
ミュージカル「Shall we ダンス?」については、あの周防監督の映画をミュージカル化したものです。初の舞台化となったわけですが、映画で役所広司さんが演じた主役はもちろんトップスターの壮一帆(そう・かずほ)さんが演じ、草刈民代さんが演じたダンサーの役は男役二番手・早霧せいな(さぎり・せいな)さんが演じました。
ということで、トップ娘役の愛加あゆ(まなか・あゆ)さんが演じたのは、主役壮さんの妻でした。
早霧さんが女性役?!と、聞いたときは思いましたが、映画の草刈民代さんの、あの厳しい感じ、男勝りな感じは逆に男役には向いていたのかもしれません。
ものごとをはっきり言いながらも、自らのダンサー人生について悩んでいる様子を早霧さんなりの表現で演じていました。好演でしたよ。
主役のダンスを習い始めたサラリーマン役の壮さんも、まるでこの役が“宛て書き”されているかのように真面目で一所懸命な男を描いていて、最後にダンス教室の仲間が迎えに来たくなるような好人物をうまく演じていました。
その壮さんの妻役、愛加さんは、夫の“浮気”を疑い、探偵事務所に出かけて行ったり、今までの穏やかだった家庭の(夫婦の)危機を感じてどうしたら良いのかわからず気が気でない様子を観客の心をつかみながらうまく演じていました。
そして、壮さんの会社の同僚で同じダンス教室に通う男(映画では竹中直人さんが演じていたちょっと変な人の役)を演じた夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さんは、この大チャンスをものにして、ステージで縦横無尽にコミカルな演技を見せ、観客の笑いを二度三度、四度五度(*^^*)と、取りまくり、今回のMVP的な大活躍でした。
さらに大湖せしる(だいご・せしる)さん、鳳翔大(ほうしょう・だい)さん、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんらのダンススクールの生徒達も、ものすごい個性で舞台をにぎやかに、そして笑いとペーソスも交え、この物語に陰影をつけていました。
今回は舞台装置に大掛かりな電光スクリーンのようなものを導入し、壮さんが駅で電車を待っていると本物のように電車がホームに滑り込んで来て、ドアが開き、観客席からは「おおぉ~っ!!」と、声が上がっていました。
このスクリーン、ダンス教室の場面などでも使われていましたが、回り舞台で裏側になると、壮さんの家庭になっていたりで、心憎い使われ方をしていました。
全体を見渡しても、映画の各シーンをほとんど踏襲していて、逆に社交ダンスの歴史を冒頭振り返る場面では、宝塚ならではの昔の豪華な貴族の舞踏会を繰り広げて見せたりして、その分映画よりも豪華で煌びやかに見えました。
今回は、宝塚が初めての団体客も多数観劇に来ているということで、非常にわかりやすいこのストーリー、ウケていました。
ショー「CONGRATULATIONS 宝塚!!」は、宝塚100周年の今年の東京初公演をまさにお祝いするショーでした。
全員で真っ白いコートを着て“コートプレイ”とでも呼べばよいのでしょうか、コートを巧みに操り、素敵なダンスから始まりました。
そして、どのシーンも華やかで圧倒的なショーになっていました。
雪組のショーは、ガンガン歌いまくり、踊りまくっても、決して“尖らない”、たおやかなものになります。
これが雪組の持ち味ではないかと思いました。
ステージ全体の印象も“しっとり”とした感じがして、宝塚のショーの良さが如実にあらわれるのがこの組の良いところです。
客席降りも二回有り、お客さんは大興奮、私も一階席の一番奥にいたのに、走り寄ってきた組子の方と勢いに乗り“ハイタッチ”してしまいました。
ショーは最後まで勢いの衰えるところなく、素晴らしい出来で終了しました。
終わったあとのロビーでの「初めて見たけど、宝塚やるじゃんっ!今すぐにでももう一度見たいよぉ!」(^-^)といううれしい感想も聞こえてきました。
今回の雪組、とても良かったです。
最後に、この公演で夢華あみ(ゆめか・あみ)さんが退団します。
デビューでいきなりロミオとジュリエットの主演、ジュリエットを射止めてしまったりして、いろいろなことがあったでしょう。
今回は、壮さんが銀橋で踊っているときに、一人ステージで踊ったり、彩風咲奈さんと銀橋で歌い踊るシーン、さらに未涼亜希(みすす・あき)さんとやはり銀橋でしっとりとしたシーンをもらい、その他の場面でも娘役のセンター位置にいることが多くなっていました。
その歌唱力には定評が有り、まだまだ惜しい娘役でした。
千葉市出身ということもあって、影ながら応援していましたが、私としてはとても残念です。
夢華さん、また次の夢を見つけて華を咲かせてください。
【Now Playing】 It's All Too Much / The Beatles ( Rock )
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