“味憶(みおく)”めぐりの本、懐かしい感動と共に読んだ
『味憶(みおく)めぐり/山本一力著(文春文庫)』を読みました。
この文も未来の日付でアップされるよう設定しましたので、私自身も忘れた頃にアップされると思います。
著者の山本一力さんは、1948年・高知県生まれで東京に出てきて新聞配達をしながら高校に通い、旅行代理店やコピーライター、航空会社関連の商社勤務などを経て1997年にオール読物新人賞受賞後、2002年に『あかね空』で直木賞を受賞されています。
少年時代は母の手一つで育てられ、この著書を読んでいるだけでも苦労されていたことがわかりました。
でも、それゆえここに書かれている絶品料理&B級グルメ的なものとの最初の出会いが、どれも衝撃的な出会いとして描かれていて、こちらも感動してしまいました。
シウマイごはんや釜飯、トンカツ、蕎麦、先輩に奢ってもらった帝国ホテルでの朝食、餃子、蒸し寿司などなど・・どれも最初に出会ったときのことが昨日のことのように鮮明に描かれていて、時代的には著者の方が私よりも人生の先輩ですが、貧しい少年時代を過ごして、知らない食べ物がたくさんあるという環境は私もそっくりで、共感を覚えつつ読み終えました。
臨時収入があったときにお母さんが連れて行ってくれた洋食屋さんの「ハヤシライス」の話など、むしろ裕福な家庭に育つよりも素晴らしい体験なのではないかと思いました。
そのときのことが事細かに書かれていて、読んでいる私も我が事のようにドキドキ感と嬉しさが心の奥に拡がりました。
デパートの「お子様ランチ」のサンプルをガラス越しに見て、あこがれるシーンなどはちょっと涙が出るくらいでした。
今の若い人にはちょっとわからない感覚かもしれません。
有楽町にあった洋食屋のナポリタンが食べたくて、でも懐かしいその店は閉店されていたときに、著者の奥さまが同じ有楽町の「ジャポネ」の存在を伝え、夫婦で食べに行く場面もありました。
私も東京勤務時に時々行ったお店です。
ジャポネでの職人の調理する様子やその姿勢などについても書かれていましたが、まさにそのとおり、私が感じていることそのままの描写に驚きました。
写真はその「ジャポネ」の『梅海苔スパゲティー』です(^-^)私が撮影したものです。
しみじみと“味憶(みおく)”・・味の記憶をこの本によみがえらせた、懐かしさと感動の作品でした。
私もまた「ジャポネ」に行きたくなりました(゚ー゚*)。oO
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