『宝塚夜話・第十五夜 < 未涼亜希さんが退団 > 』
宝塚夜話、久しぶりに書きます。
雪組の未涼亜希(みすず・あき)さんが退団されるそうです。
ついこのあいだの日本青年館での「心中・恋の大和路」での丹波屋八右衛門役の際だった良さがまだ新鮮な記憶として残っています。
ラスト、雪の降る中、トップコンビ二人が死に向かって大和路を歩むシーンでの舞台下手で“絶唱”する未涼さんの歌唱には体がふるえました。
手塚治虫の「ブラックジャック」を主演したときにも、未涼さんでしか出来ないあの独特の雰囲気も「見に来て良かった」と何度も思いました。
全国ツアー・市川市文化会館での「黒い瞳」では、反乱軍の首領を演じ、主演の音月さんと共に圧巻の演技を見せてくれました。あの時は幕間のロビーでの会話が「まっつ(未涼さんの愛称)さん、すごい、今すぐトップスターをやれる!」という興奮した声があちこちから聞こえてきました。
未涼さんのステージはどちらかというと、『静』の印象ですが、内に秘めたる燃えるような『動』が観客の心の中にズバッと入ってくる、そんなふうに今までの舞台を見て、私には感じました。
花組在籍時の、「太王四神記」でコムル村の村長「ヒョンゴ」を演じた時にも深く、堂々として、静かに秘めているものがある、あのたたずまいも好きでした。
しかも、冒頭、本家韓国版の長いストーリーを一気に語り、宝塚の舞台スケールに収めるための演出家の狙いを完璧にこなしたあの見事な「語り」には、ただただ「素晴らしい」と感心しました。
星組が同じ演目をやったときには、その部分が無くなっていましたが、「未涼さんのように見事にこなせる人が居なかったからでは?」とも、私は感じたのです。
演技はもちろん、歌、ダンスにおいても、この人がいるだけでステージは非常に締まったものになり、現在の雪組だけでなく、宝塚全体にとっても、まさに“宝”のような存在でした。
出来れば専科に残っていただいてでも、まだまだ未涼さんのステージが見たかったと、ちょっと寂しい気持ちで退団の一報を聞きました。
8月の東京宝塚劇場での公演が未涼さん最後の公演となるようです。
見に行きたいと思います。
【Now Playing】 永六輔その新世界 / 鎌田實他 ( TBSラジオ )
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